11 精神のおはなし(2)双極性障害、統合失調症、物質使用障害、ストレス障害(6)

本人と家族を交えた情報提供はとっても大事。

家族の行動が意図せずに飲酒を支援する

「共依存」になりがちな、「家族病」でもあるからです。

 

従来、依存症になった人は

家族、職、財産をすべて失い

社会的に孤立(底つき体験)しないと

自ら治療の必要性を認めないと考えられてきました。

でも、そこからでは各種の回復までに

恐ろしく長い時間がかかります。

だから本人が、もっと早い時点で

「治療しないといけない!」と決心することが大事。

そのためにも断酒会や家族会への情報提供の意味があるのです。

急性期には入院して、抗不安薬と栄養療法。

離脱症状に対しては対症的に

抗不安薬、抗精神病薬、睡眠薬を用います。

薬がお手伝いできるのはそこまで。

あとは酒を飲んでも

気持ちよくなれないような薬(断酒薬)を使いつつ、

本人の意思をチームで援助していく必要があります。

 

(2)その他の使用障害

アルコール以外の精神作用物質依存も、

大枠は同じです。

「薬物使用障害」は、覚せい剤、大麻、シンナー、

処方薬等の乱用・繰り返しを経て、

その使用を自らコントロールできなくなり、

それなしには生きていけない状態に陥ること。

スタートは薬物を社会的許容から逸脱した

目的や方法で自己使用する「乱用」。

薬物の作用により、

脳の神経細胞に異常が起き、

身体症状や意識障害を引き起こします。

これは数時間から数日で覚める「急性中毒症状」です。

さらに乱用を繰り返し、

自己コントロールができずに止められない状態が「依存」。

行きつく先は脳に器質的異常が出て、

幻覚・妄想、人格変化が起こり、

社会的機能が低下する「慢性中毒症状」です。

 

「自分はコントロールできるから1回くらい平気!

意志が強いんだ!」

こう思う人は多いのですが…

乱用からの依存は「意志」の問題ではありません。

脳神経系の「報酬系」と呼ばれるところが

おかしくなることが原因です。

おかしくなるところはA10神経系と呼ばれる

ドーパミンの作用経路。

ドーパミンは「欲動」担当でしたね。

ここが発作的に「薬だ!薬をよこせ!」と働いてしまう結果、

自己の意志よりももっと深い基礎欲求のレベルから

「薬物」を求めてしまいます。

だから「自己コントロール」ができない状態になるのです。

急性中毒症状に対しては補水をはじめとする栄養療法が基本。

ここに心身を休めるための睡眠薬や抗精神病薬が追加されます。

慢性中毒では精神症状に対処するための抗精神病薬と、

アルコール依存症と同様の社会支援が必要になってきます。