11 各論6:呼吸(呼吸器系):赤血球(2)

赤血球成熟因子エリスロポエチンは、腎臓でできる糖タンパク質。

これを人工的に増やして薬にしたのがエリスロポエチンアルファ(エスポー)です。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066485

遺伝子を組み換えて、ハムスターの卵巣細胞に作ってもらっています。

 

禁忌は本剤はじめエリスロポエチン製剤にアレルギーのある人。

ダルべポエチンアルファというのは、

遺伝子を組み換えて作った「エリスロポエチン受容体」の作動薬です。

 

慎重投与対象はアレルギー素因のある人。

薬物過敏症の人も含まれますね。

また、各種梗塞(心臓・脳・肺)のある人やあった人、

血栓塞栓症を起こす恐れのある人にも慎重に。

高血圧症の人も慎重投与対象になります。

 

あと、脳室内(または実質脳室内)に出血のある未熟児にも

慎重投与になります。

「…未熟児?」と思った人、いますよね。

エリスロポエチンアルファは、未熟児に対しても使われることがあります。

 

ちょっと補足していきますね。

エリスロポエチンは腎臓で作られるので、

腎臓が働ける状態にないと赤血球が成熟できません。

胎児が体内臓器を完成させる前に生まれてきてしまうと、

腎臓が未完成のうちにヘモグロビンの作りかえが始まってしまいます。

これではエリスロポエチン不足で、作り直された赤血球は「働けない」ままですね。

全身細胞が酸素不足で大ピンチになってしまうので、

エリスロポエチンを補充してあげます。

胎児体内の鉄貯蔵も不十分なことが多いので、鉄剤も一緒に使うことになります。

 

あともう1つ。

その他の注意のところに

「未熟児性貧血にエリスロポエチンを使うと、

未熟児網膜症に関係があるかもしれません」と書いてあります。

未熟児網膜症というのは、未熟児の血液中酸素濃度が急に上がると、

成長が不十分だった網膜に血管がたくさんできて

重い視力障害を引き起こしてしまうものです。

よく問題になるのは、保育器内の酸素濃度が高すぎたとき。

でも、エリスロポエチンの補充で今までより効率的に酸素を運べるようになると、

急に血液中酸素濃度が上がる可能性がありますよね。

だから「未熟児網膜症に関係があるかもしれません」なのです。

 

禁忌や慎重投与のところには何も書かれていませんが。

妊娠・妊娠可能性のある人や授乳中の人では、安全性は確立されていません。

動物実験では胎児や出生児の発育遅滞が報告されています。

そもそも、妊娠中の貧血は主に鉄欠乏性貧血のはず。

妊娠経過によって鉄剤が出されることはあっても、

エリスロポエチン補充の必要性はないはずです。

 

以上、赤血球に効く薬のおはなしでした。

あとは空気の出し入れがうまくいけば「呼吸」できそうですね。

空気の出し入れには、胸郭が呼吸中枢の命令を受けて動くことが必要。

胸郭の動きと空気の動きについては、解剖生理学でおはなししてありますよ。

だから、ここでは命令を出すところ「中枢」のおはなしに限定しましょう。

次回から「中枢」ブロックの始まりです。