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9 呼吸器系のおはなし(2)肺(肺胞)と骨の基本(1)

酸素と二酸化炭素の交換所は、肺胞。

「交換所」がおかしくなるとどうなってしまうか、ですね。

肺胞自体は薄い細胞で出来ている伸び縮みする袋。

その周囲を毛細血管がネットのように取り巻いています。

肺胞も毛細血管壁も、どちらもとても薄く

気体(酸素や二酸化炭素)の移動を邪魔しません。

 

1 肺炎

肺胞(肺実質)の炎症が、肺炎ですね。

肺実質に何らかの病原微生物が入って

感染性の急性炎症を起こした状態が、肺炎です。

死亡率は、2017年現在で第5位。

発熱、痰、咳、胸痛、呼吸困難等の

典型的な呼吸器症状が出ます。

高齢者や脳血管障害があるときには、

呼吸器症状が出ずに

微熱や食欲不振のみということもありますよ。

対処が遅れて重症化してしまうと、

チアノーゼや意識障害、血圧低下を起こし、

ショック状態に陥ります。

そんな肺炎は、市中感染と院内感染に分けられます。

 

(1)市中感染による肺炎

市中感染(普通の生活で感染)による肺炎原因は、

口腔内細菌が主流の内因性と、

外から入ってきた外因性にさらに分けられます。

内因性については「誤嚥」を無視しておはなしできません。

ここは、あとで独立しておはなししましょう。

 

外因性のメインは

肺炎球菌とインフルエンザ菌、マイコプラズマ、クラミジア。

マイコプラズマとクラミジアによる肺炎をまとめて、

「非定型肺炎」と呼ぶこともあります。

痰が少なく、しつこい乾性咳嗽に加え、

頭痛・関節痛・消化器症状といった

全身症状が出るのがポイントです。

「痰が少ない」ということは、

本来肺炎で聞こえるはずの

水泡音が聞こえない可能性がありますね。

原因に合った薬で対処すれば、

1週間くらいで治るのが若年者。

高齢者や基礎疾患

(慢性呼吸器疾患、糖尿病、酒、タバコ…)がある人では、

長引きます。

 

「市中感染」というより「家内感染?」なのが過敏性肺炎。

急性過敏性肺炎は「アレルギー性肺炎」とも呼ばれます。

原因(抗原)になるものは本当にいろいろ。

女性に多い夏型過敏性肺炎の原因は細菌。

羽毛布団も原因になり得る動物由来タンパク質。

真菌(カビ)や化学物質も原因になりえます。

発熱、悪寒、咳、呼吸困難、全身倦怠感等が出ますが、

知らないと「かぜ、引いたかな?」で

済ませてしまうかも。

原因が分かるなら、避けることが一番。

特に夏型過敏性肺炎は、

自宅や職場の腐食木やカビが関連している可能性が高いので、

掃除の工夫等が必要です。

でも、職業と関連しているときにはなかなか転属もできず、

慢性過敏性肺炎から、

あとでおはなしする特発性肺線維症を

起こしてしまうことも多いようです。