12 末梢神経のおはなし(3)触覚と皮膚(後半)(3)
黄色ブドウ球菌や連鎖球菌が原因で起こるのが
「トキシックショック症候群」。
血圧低下、多臓器障害、
猩紅熱紅斑が出てくる症候群です。
「猩紅熱」はA群β溶血性連鎖球菌による感染症。
紅色の小さな発疹が全身にでき(猩紅熱紅斑)、
舌がイチゴのような状態になる「いちご舌」が特徴です。
他にも熱や悪寒、
頭痛・咽頭痛・四肢痛が出てくる病気ですよ。
化膿連鎖球菌だと、
広範な皮膚の壊死性変化を引き起こす「壊死性筋膜炎」や、
トキシックショック様症候群で
多臓器不全(MOF)を起こして、
死に至ることもあります。
「抗酸菌感染症」と言われたら
思い出してほしいのが、皮膚結核とハンセン病。
結核菌が皮膚をおかしくしたものが皮膚結核。
結核菌に対するアレルギー反応としての「結核疹」と、
皮膚で結核菌の病巣ができた
「真性皮膚結核」が含まれます。
結核疹は下腿や前腕の皮下結節(結節性紅斑)、
真性皮膚結核では赤褐色の皮疹や皮下結節からの
熱感のない膿(冷膿瘍)が特徴です。
2つ合わせても発病者のごく一部
(約0.1%)にしか出現しませんが、
「結核が皮膚をおかしくすることもある!」ことは
頭の片隅に入れておきましょう。
ハンセン病は抗酸菌と呼ばれるグループに入る
「らい菌」による慢性感染症。
皮膚、鼻腔粘膜、目、末梢神経がおかしくなってしまいます。
今でこそ原因も対処方法も分かっていますが、
近年まで隔離政策等が行われていた
(法律も残っていた)のは、ご存知の通りです。
(3)ウイルス性皮膚感染症
皮膚の「変!」を引き起こすウイルスは
たくさんあります。
耳にしたことのある
単純ヘルペスウイルス(HSV)から始めましょう。
単純ヘルペスウイルスは、
皮膚や粘膜に浅い潰瘍性の水疱性病変を作るもの。
違和感・痛痒さ(いたがゆさ)から始まり、
浮腫性紅斑ができてきます。
紅斑上にたくさんの小さな水膨れ(水疱)ができて、
やがて膿疱ができ、痂皮化して…約1~2週間で治ります。
でも、同一部位やその周辺に再発することが多いですね。
口唇型が1型、性器型が2型ですが、
近年は混在して…というおはなしは、
生殖器系(TORCHのH)のところでしましたよ。
顔面に出たときには角膜炎に、
性器型の初感染では髄膜炎を合併する可能性もあります。
軽いうちなら抗ウイルス薬の内服ですが、
ひどくなると点滴で
抗ウイルス薬を入れることになりますよ。
ストレス、過労、外部刺激をきっかけに再活性化し、
3~4日後に皮膚症状が再発します。
きっかけをできるだけ避け、
手を触れないようにしてくださいね。