4 体温のおはなし(1)血液・免疫(7)
「血球の増えまくり(腫瘍)」として、
悪性リンパ腫のおはなし。
悪性リンパ腫は、
リンパ球やその前段階(リンパ系前駆細胞)に基づく腫瘍。
B細胞が増えるものと、
T細胞・ナチュラルキラー細胞が増えるものと、
「ホジキンリンパ腫」に分けられます。
ホジキンというのは、病気を発見した人の名前です。
リンパ球全般がひたすら増えるので、
リンパ節が腫れてきます。
栄養や酸素がリンパ球増殖に使われてしまうので、
腫瘍の出発地点になったところの臓器に機能異常が出てきます。
そしてリンパ球がたくさんいるから
応援しようとばかりに熱が出て…。
熱にもリンパ球増殖にもATPが必要になりますので、
体重減少(10%以上)が起きてきます。
細胞分裂に必要なもの作成やリンパ球処理のために
肝臓・脾臓が腫れてきますよ。
こちらの完全寛解は4週間以上、
腫瘍関連異常が消えること。
骨髄の中を直接知ることができる「骨髄穿刺」にあたるものが、
リンパ節にはないからですね。
正常な造血幹細胞の移植、変なリンパ球をおさえる抗体療法、
放射線治療等が使われます。
放射線治療は、
放射線を当てることでDNA合成を邪魔して、
細胞分裂できないようにすることです。
化学療法としては、
Bリンパ球性腫瘍に使われる「CHOP療法」があります。
抗がん剤かつ免疫抑制剤の「シクロホスファミド(C)」、
抗がん剤の「ドキソリビシン(H)」と「オンコビン(O)」、
抗炎症のためのステロイド系代表
「プレドニゾロン(P)」の頭文字です。
よく効きますが…副作用も結構強烈。
特に神経細胞にも影響が出やすいオンコビン。
便秘ならまだ平和、
末梢神経障害や腸閉塞、心筋障害すら起こりえます。
腫瘍によく効く薬は、
正常な細胞までどこかおかしくなる可能性が高くなります。
おかしくなってしまったら、どんなことが起こりうるのか。
何に気を付けておかないといけないのか。
一度自分でまとめておくといいですよ。
B細胞関係でもう1つ。
多発性骨髄腫はリンパ球B細胞
(の最終分化形態:形質細胞)が腫瘍化したもの。
イメージは
「B細胞が言うこと聞かずに増えまくり!」でいいですよ。
Bリンパ球の成熟場所は骨髄。
そこでBリンパ球が増えまくるせいで骨が壊れることが問題です。
骨が壊れてカルシウムが溶けだし、
病的骨折を起こして腰痛が出ます。
他にも口渇や貧血が見られますよ。
骨の強度維持を思い出すと、安静にしすぎるのは逆効果。
装具を付けて鎮痛剤を飲みつつ、適度な運動が必要になります。
カルシウム流出の負担を受けて
腎不全を起こすと大変なことになるので、
脱水は絶対に回避してくださいね!