5 体温のおはなし(2)過敏症と自己免疫疾患(4)
アトピー性皮膚炎は皮膚炎ですが…
「アトピー(「不思議な・とらえどころのない」
:ギリシャ語)」の名の通り、かなり複雑です。
一応「増悪・寛解を繰り返す、
かゆみのある湿疹を主病変とする疾患で、
患者の多くはアトピー素因を持つ」と定義されてはいます。
「アトピー素因」とは、
「①気管支喘息・アレルギー性鼻炎・
アレルギー性結膜炎・アレルギー性皮膚炎の、
少なくとも1つをもつ家族歴または既往歴」または
「②Ig-Eを産生しやすい素因」のこと。
1つの用語の中に、
遺伝的なものとアレルギー的なものが詰め込まれていますね。
「かゆみのある湿疹」自体は、
左右対側性(左右ほぼ同じところに出る)
皮膚の乾燥・防御機能の異常という
アレルギー以外の側面も示すので、
とらえどころがなくて実に困ります。
しかも年代によって症状傾向が変わり、
挙句に合併症が多すぎてこのスペースで扱いきれるものではありません。
ここでは最低限の対処方法をおはなししておきますね。
大前提はスキンケアです。
皮膚に不要な刺激を与えず、
正常な細胞の働きを応援する36~40℃のお湯で、清潔にしてください。
皮膚のpHを考えると、セッケン多用はダメですよ。
どうしても使いたいなら、
「しっかり洗い落とし、弱酸性セッケンを使う」ことです。
さらに薬も追加。
保湿剤やステロイド薬の外用、かゆみ止めの内服等になると思います。
アトピー性皮膚炎で大事なのは、本人及び家族の理解です。
「キュア(治す)ではなくコントロール(付き合っていく)」だと、
分かってもらってくださいね。
2 自己免疫疾患
少し補足もしましたが、
ここまでが「正常免疫の働きすぎ」のおはなし。
ここからは「自分を異物認定しちゃった!」という
自己免疫疾患のおはなしです。
かなりの部分が「膠原病」とも呼ばれます。
「膠原」は、タンパク質のコラーゲンのこと。
結合組織が変になってしまう(フィブリノイド変性)ので、
「膠原病」です。
免疫のシステムに注目するか、組織変化に注目するかの違いが、
「自己免疫疾患」と「膠原病」の違いです。
自己免疫疾患の多くは、「自己抗体」が悪さをします。
「自己抗体が関係するもの」をおはなしした後で、
「自己抗体が関係しないもの」をおはなししますね。