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6 体温のおはなし(3)上部消化器系(+肝胆膵)(21)

胆石ができるのが、胆石症。

胆石は、胆嚢や胆道にできた固形物のこと。

「石」といっても、砂状や泥状など形はいろいろ。

原料もコレステロールが約6割ですが、

ビリルビン由来のものもあります。

胆石症の三徴は、

「上腹部痛・背部痛」「発熱」「黄疸」。

脂質異常と重なるところが多いので、

生活習慣病の中に含まれることもあります。

 

日本ではあまり男女差はありませんが、

米国では5Fという好発条件のなかに

「女性(Female)」が入ります。

5Fの残りは色白(Fair)、肥満(Fatty)、

40代(Forty)、多産(Fertile)です。

 

人間ドック等で見つかった症状のない胆石は、

原則として経過観察になります。

石がはまり込む疝痛発作は、

過食・過労・ストレスで誘発されやすくなります。

一旦痛みが治まる寛解状態になったなら、

ストレスを避けて脂肪を制限した方がよさそうですね。

もちろん、発作を防ぐためには石を取ってしまうのが一番。

胆嚢ごと手術で取るほかにも、

薬や衝撃波(ESWL)で石だけをなくす方法もありますよ。

 

胆道は、

胆汁が肝臓から腸管へと流れるようにできています。

石や腫瘍等で胆汁がうっ滞すると、

そこに大腸菌等の腸内細菌が逆行してきて

炎症を起こすことがあります。

これが胆嚢炎・胆管炎に代表される胆道感染症です。

胆石から胆嚢炎を起こすと、腹膜刺激兆候が出ますよ。

石がなくても、胆嚢炎は起きます。

例えばIVH(非経口的栄養管理)では、

胆嚢機能不全を起こしやすく、

胆汁がうっ滞しやすくなります。

 

胆嚢炎は重症なら即時に、

さもなくばドレナージをしつつ

炎症を一段落させてから胆嚢を取ってしまいます。

胆石ができたときに胆嚢ごと取ってしまう

手術が選ばれやすいのは、

胆嚢炎予防でもあるからです。

胆管炎では

「発熱」「右上腹部痛」「黄疸」が出ることが多いですね。

これはシャルコーの三徴とも呼ばれます。

重症化して急性閉塞性化膿性胆管炎になってしまうと、

ここに「意識障害」「ショック」が加わった

レイノルズの五徴になってしまいます。

これでは多臓器不全一直線ですから、生命大ピンチ。

そうなる前に、気付いてくださいね。