7 体温のおはなし(4)内分泌系(代謝異常)(16)

(2)高尿酸血症、痛風

肥満と合併しやすいので、

ここで高尿酸血症と痛風もおはなししてしまいましょう。

痛風というのは、

高尿酸血症(7.0mg/㎗超)が長時間持続し、

析出した尿酸・尿酸塩結晶が原因となって

急性関節炎や腎障害を起こすもの。

尿酸という核酸代謝産物が

「体の中で結晶化してチクチク痛い!」という病気です。

尿酸の血中濃度が上がる原因は、

飲酒・激しすぎる運動・肥満。

尿酸は水に溶けないので、

こまめに水分(尿)で体の外に出さないとたまってしまいます。

脱水状態になると、それだけで排出が遅れてしまいますね。

男性では上記要因に加え、

排出に協力的ではない男性ホルモンのせいで

排出が遅れがちです。

 

やがて体内でたまった尿酸は骨の滑膜で結晶化し、

ここで局所違和感。

結晶がポロリとはがれると、関節炎です。

歩行不能レベルの疼痛になることが多く、腫脹、発赤も見られます。

「風が吹いても痛い」と呼ばれる痛風発作は

24時間以内にピークを迎え、10日ほどで治ります。

そして次の発作まで痛みが出ません。

 

炎症にはNSAIDs等の薬が効きますが、

ベースにある高尿酸血症を治さないと再発します。

摂取カロリーを制限して、

水分をたくさんとる必要がありますね。

合併しやすい病気としては、

肥満のほかに高血圧、脳血管障害、

虚血性心疾患に脂質代謝異常。

糖質代謝異常症に腎症、尿路結石など。

 

生活習慣の改善は、

他の病気の改善にもつながります。

逆に1つどこかがおかしくなると、

次々と他のところもおかしくなっていくのです。

個々の疾患・病気だけに注目するのではなく、

「メタボリックシンドローム」の状態に

介入する意味や重要性、

皆さんはもう分かってくれますよね。

 

3 タンパク質代謝異常

続いて、タンパク質代謝異常。

糖質や脂質と比べて

病気の前面に出てくることはあまり多くありません。

でも、タンパク質の役割を思い出せば分かるように、

タンパク質代謝異常が出てきたら

かなり「ヤバい!」状態ですよ。

 

(1)アミノ酸レベルの代謝異常

タンパク質はアミノ酸が集まったもの。

アミノ酸の代謝異常は特に先天性が問題になります。

先天性アミノ酸代謝異常の代表例は、

フェニルケトン尿症(高フェニルアラニン血症)、

ホモシスチン尿症、メープルシロップ尿症。

この3つ、新生児マススクリーニングの対象です。

 

フェニルアラニン尿症は、

放置するとけいれん、色素低下、知能障害が出るので、

低フェニルアラニンミルク療法。

ホモシスチン尿症は静脈の血栓等が生じてくるので、

低メチオニン・高シスチン食とビタミンB6補充療法。

メープルシロップ尿症は

けいれん、多呼吸、代謝性アシドーシスが出てくるので、

BCAA除去ミルク療法ですね。

BCAAというのは、

バリン・ロイシン・イソロイシンのような

血中分岐鎖アミノ酸のことです。

 

このように「早期に分かれば対処可能、

遅れてしまうと問題が!」という病気が、

新生児マススクリーニングの対象です。

これにガラクトースを代謝する酵素を欠いた

ガラクトース血症、

先におはなしした

先天性甲状腺機能低下症と先天性副腎過形成症を加えると、

新生児マススクリーニングの主な対象を全制覇です。

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)と

先天性副腎過形成症については、

甲状腺と副腎のところでおはなししてありますよ。

あと、先天性アミノ酸代謝異常に

高シトルリン血症も追加しておきましょう。

マススクリーニングの対象ではありませんが、

常染色体劣性の、

約2万人に1人が思春期に発症する病気です。

高アンモニア血症に由来する失見当識、もうろう、

傾眠、昏睡が起き、死の危険もあります。

精神症状ばかりに目が行くと、

てんかん、うつ、統合失調症と判断されてしまうこともあります。

高タンパク食を避けることになりますね。

肝移植ができれば、それが一番です。

 

後天性アミノ酸代謝異常は、

肝硬変や腎不全等で起こりますよ。