7 体温のおはなし(4)内分泌系(全般)(9)
pHの恒常性を守る2大器官は肺と腎臓。
それをサポートしてくれるのが
赤血球の炭酸水素緩衝系です。
肺は水(血液)に溶けて酸性を示す
二酸化炭素(CO₂)の排出量で恒常性を守ります。
肺がおかしくなったせいで
pHの正域からはみ出すと、
頭に「呼吸性」の文字が付きます。
呼吸性アシドーシスの例は、
二酸化炭素をうまく吐き出せない窒息や呼吸不全。
呼吸性アルカローシスの例は、
二酸化炭素を吐き出しすぎてしまう過換気症候群です。
緩衝系というのは、
急な酸やアルカリの上昇によって
血液pHが急に動かないようにするもの。
赤血球が、炭酸水素をつかっている緩衝系が、
「赤血球の炭酸水素緩衝系」です。
腎臓はじめ、肺以外の原因で血液pHが正常域から外れると、
頭に「代謝性」の文字が付きます。
腎臓が原因になることが多いのですが、
腎臓以外でも代謝性になることに注意です。
例えば、糖尿病によるケトアシドーシス。
ケトン体によるアシドーシスなので、肺は無関係。
だから「呼吸性」ではありません。
でも、ケトン体ができるのは腎臓のせいではありません。
だから腎臓以外の原因による「代謝性アシドーシス」になります。
あと理解しておいてほしいのは、
体の中は一定量の酸とアルカリでバランスをとっているということ。
例えば、嘔吐。
嘔吐というのは胃酸(酸性)が体の外に出ていってしまうこと。
例えば、酸3個とアルカリ3個で
体の中のバランスをとっていたとしましょう。
このときに酸が1個外に出ていったら、
酸2個とアルカリ3個になってアルカリに傾きますね。
だから、嘔吐は代謝性アルカローシスになります。
これが分かれば、
下痢(アルカリ性の腸液が体外に出ていく)が
代謝性アシドーシスになることも分かります。
あとは「個別のおかしくなった!」のところで、
代謝性アシドーシスと
代謝性アルカローシスを追加していきますね。
以上、これでも簡単な腎臓の働きの復習と、
アシドーシス・アルカローシスの基本でした。
腎臓がいかに大事なところか、思い出せましたか?
腎臓がおかしくなると、
これらすべてに悪影響が出てきます。
ついつい「尿での不要物排出」だけに気を取られがちですから、
常に注意してくださいね!