10 各論5:体温(感染・免疫):⑧過敏症(2)
花粉症に代表されるⅠ型過敏症。
症状の出る鼻と目に使う薬を確認していきましょう。
点鼻薬は抗炎症薬のステロイド剤や抗アレルギー薬だけでなく、
鼻水を止める(減らす)ことに特化した薬も使われます。
ステロイド剤については内分泌系のところでおはなし済みです。
抗アレルギー薬というのは、
アレルギー(過敏症)に使う薬をまとめて広く呼ぶときの呼び名。
その中に抗ヒスタミン薬も含まれます。
ヒスタミンをねらって邪魔する
ケトチフェンフマル酸(ザジテン)は、
抗ヒスタミン薬で、抗アレルギー薬の一種。
抗体をブロックする
スプラタストトシル酸塩(アイピーディ)は、
抗アレルギー薬ですが、抗ヒスタミン薬ではありません。
一般に抗ヒスタミン薬は即効性、
それ以外の抗アレルギー薬は長期的使用目的になります。
鼻水は血行が盛んになると産生量が増えます。
「だから鼻周りの血管を収縮させてしまえ!」というのが、
ナファゾリン塩酸塩(プリビナ)。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052686
血管にあるアドレナリンα受容体を刺激するお薬です。
禁忌は薬にアレルギーがある人と、2歳未満の乳幼児。
2歳未満の乳幼児では、
効果が強く出すぎてショックを起こしてしまう可能性があります。
小児では禁忌にあたらずとも
過量症状(血圧上昇と臓器虚血)が出る可能性がありますので、
よく気を付けてくださいね。
また、モノアミン(MAO)阻害薬と併用すると、
血圧急上昇の危険があるため禁忌になっています。
モノアミンは、
生理活性アミンの中の「アミノ基が1つ付いている」グループのこと。
神経伝達物質が多く含まれます。
これら神経伝達物質は1度使われると酵素によって分解されます。
この分解酵素を邪魔するのがモノアミン阻害薬です。
アドレナリンもモノアミン。
1度出たアドレナリンが何回も使われることになって、
しかも受容体が刺激を受けている状態ですから…
アドレナリンの血圧上昇が
強く出すぎてしまうことになるのですね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230603更新)