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12 各論7:呼吸(中枢・精神):④睡眠薬(1)

2023年11月30日

睡眠薬は効くまでの長さや効く時間によって

「超短期」「短期」「中間」「長期」と分けられます。

すぐ効き出して(ピークは1時間以内)、

4時間くらい効く超短期。

ピークは飲んでから2時間くらいで、

6~10時間ほど効く短期。

ピークは飲んでから2時間くらいだけど、

24時間くらい効く中間。

ピークが飲んでから4時間くらいにあって、

24時間くらい効く長期…です。

もちろん時間は目安ですから、

数時間単位でのずれは起こると思ってください。

 

いずれのタイプも、

視床下部や大脳辺縁系にあるベンゾジアゼピン受容体に働いて、

不安や緊張といった情動異常を改善してくれます。

大脳辺縁系といえば海馬や扁桃体。

特に「怖いよう!」反応の扁桃体によく効く薬です。

そしてどのタイプの薬を飲んでも、

(翌日の)車や機械等運転には要注意ですからね!

不安や緊張がなくなるだけでなく、

鎮静(全身麻酔の効果の1つでした)も引き起こすこともお忘れなく。

 

「超短期」の例として、トリアゾラム(ハルシオン)を紹介します。

飲んだことのある人もいるかもしれませんね。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00000184

禁忌は本剤にアレルギーのある人、緑内障の人、重症筋無力症の人。

緑内障や重症筋無力症は、

副交感神経系優位状態で悪化してしまうことはおはなし済みです。

あと、抗ウイルス薬(抗HIV薬)のリトナビルはじめ

同じ酵素で代謝される薬(併用禁止薬)を使っている人には禁忌です。

トリアゾラムの効果が必要以上に強く出てしまいますよ。

 

原則禁忌はCO₂ナルコーシスを起こしやすい

呼吸機能が高度に低下している人。

ぜんそくや肺気腫等の人ですね。

 

妊娠中・妊娠可能性のある人や

授乳中の人、小児では使えないと思ってください。

小児では安全性が未確立。

乳汁に移行してしまうので、授乳は禁止。

動物実験で催奇形性や新生児の黄疸や仮死、

離脱症状等の出現も報告されていますよ。

 

慎重投与対象は、

心臓・肝臓・腎臓に障害のある人や高齢者。

脳に器質的疾患のある人や衰弱した人が含まれています。

特に肝障害が「既往歴」も含んでいることに注意してくださいね。

 

併用注意には

本剤の効果を弱める抗結核薬のリファンピシンがあります。

ほかの併用注意薬は

「トリアゾラムの効果を強めてしまうから」です。

中枢抑制薬、MAO阻害薬、抗不整脈薬(ジルチアゼム)、

アルコールが含まれるところまではいいですね。

H2受容体に効く消化管潰瘍薬のシメチジン、

抗悪性腫瘍薬のメシル酸イマチニブ、

抗生物質のマクロライド系

(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、

ジョサマイシン)も併用注意薬です。

キヌプリスチン、ダルホプリスチンも抗生物質の名前ですよ。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20231130更新)