12 各論7:呼吸(中枢・精神):④睡眠薬(1)
睡眠薬は効くまでの長さや効く時間によって
「超短期」「短期」「中間」「長期」と分けられます。
すぐ効き出して(ピークは1時間以内)、
4時間くらい効く超短期。
ピークは飲んでから2時間くらいで、
6~10時間ほど効く短期。
ピークは飲んでから2時間くらいだけど、
24時間くらい効く中間。
ピークが飲んでから4時間くらいにあって、
24時間くらい効く長期…です。
もちろん時間は目安ですから、
数時間単位でのずれは起こると思ってください。
いずれのタイプも、
視床下部や大脳辺縁系にあるベンゾジアゼピン受容体に働いて、
不安や緊張といった情動異常を改善してくれます。
大脳辺縁系といえば海馬や扁桃体。
特に「怖いよう!」反応の扁桃体によく効く薬です。
そしてどのタイプの薬を飲んでも、
(翌日の)車や機械等運転には要注意ですからね!
不安や緊張がなくなるだけでなく、
鎮静(全身麻酔の効果の1つでした)も引き起こすこともお忘れなく。
「超短期」の例として、トリアゾラム(ハルシオン)を紹介します。
飲んだことのある人もいるかもしれませんね。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00000184
禁忌は本剤にアレルギーのある人、緑内障の人、重症筋無力症の人。
緑内障や重症筋無力症は、
副交感神経系優位状態で悪化してしまうことはおはなし済みです。
あと、抗ウイルス薬(抗HIV薬)のリトナビルはじめ
同じ酵素で代謝される薬(併用禁止薬)を使っている人には禁忌です。
トリアゾラムの効果が必要以上に強く出てしまいますよ。
原則禁忌はCO₂ナルコーシスを起こしやすい
呼吸機能が高度に低下している人。
ぜんそくや肺気腫等の人ですね。
妊娠中・妊娠可能性のある人や
授乳中の人、小児では使えないと思ってください。
小児では安全性が未確立。
乳汁に移行してしまうので、授乳は禁止。
動物実験で催奇形性や新生児の黄疸や仮死、
離脱症状等の出現も報告されていますよ。
慎重投与対象は、
心臓・肝臓・腎臓に障害のある人や高齢者。
脳に器質的疾患のある人や衰弱した人が含まれています。
特に肝障害が「既往歴」も含んでいることに注意してくださいね。
併用注意には
本剤の効果を弱める抗結核薬のリファンピシンがあります。
ほかの併用注意薬は
「トリアゾラムの効果を強めてしまうから」です。
中枢抑制薬、MAO阻害薬、抗不整脈薬(ジルチアゼム)、
アルコールが含まれるところまではいいですね。
H2受容体に効く消化管潰瘍薬のシメチジン、
抗悪性腫瘍薬のメシル酸イマチニブ、
抗生物質のマクロライド系
(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、
ジョサマイシン)も併用注意薬です。
キヌプリスチン、ダルホプリスチンも抗生物質の名前ですよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20231130更新)