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12 各論7:呼吸(中枢・精神):⑧うつ・双極性障害の薬(5)

2024年4月25日

三環系抗うつ薬に続き四環系抗うつ薬を紹介しましたが。

「やっぱり、使いにくいって!」

…ごもっともです。

だから改良されて生まれたのが、

選択的セロトニン受容体阻害薬(SSRI)と

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)です。

再取り込みが阻害される

(分解されずに済む)対象が限定されたので、

「少しは」注意する点が減りました。

でも、セロトニンやノルアドレナリンは

体の中で広く使われる神経伝達物質。

残念ながら、併用注意薬はあまり減っていませんよ。

 

選択的セロトニン受容体阻害薬(SSRI)の一例として、

パロキセチン塩酸塩水和物(パキシル)を紹介します。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00058794

禁忌は本剤にアレルギーのある人と、

MAO阻害薬使用中(と中止後2週間以内)の人と、

ピモジド使用中の人。

 

「MAO阻害薬は同じ働きの薬だから、セロトニン症候群の危険で…

ん?ピモジドって何?」

 

ピモジド(オーラップ)はアドレナリンα受容体拮抗薬。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052995

統合失調症等でドーパミン受容体をブロックするときに使う薬です。

ピモジドとの併用により、

QT延長や心室性の重い不整脈が引き起こされる可能性があるから

「禁忌」なのですよ。

 

あと、警告に

「若年者(7~18歳)のうつには効果がないかも」と書かれています。

海外では「自殺リスクが上がるかも」との報告もされていますね。

 

慎重投与対象は幾分少なめ。

抗コリン作用が怖い緑内障や高齢者。

悪性症候群を起こす可能性のある抗精神病薬

(主に統合失調症の薬)を使っている人。

精神状態が悪化する可能性のある、

脳の器質的障害や衝動性の高い併存障害のある人。

自殺念慮・企図のある人。

統合失調症の素因がある人も発症する可能性がありますね。

そして電気的変化で発作を起こし得るてんかんのある人と、

そう転が怖い双極性障害の人も慎重対象です。

大事な追加対象は「出血危険性のある人」。

皮膚・粘膜(胃腸を含む)が起こりえますので、

併用注意薬と一緒に意識しておいてください。

 

残念ながら、小児と妊娠・妊娠可能性のある人に対しての

安全性未確立は変わりませんね。

 

次回は併用注意薬から確認していきますよ。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20240425更新)