2 薬に共通するおはなし(1):吸収(A)の応用(6)
錠剤をのむときに注意してほしいこと。
形はただの錠剤でも、
飲み込んではいけない薬があります。
「そもそも使う場所が違うんだけど?!」なのが膣錠。
文字の通り、膣炎を治すために膣に入れる薬です。
「内服(飲む)薬」ではなく、
「外用(付ける・塗る)薬」と袋にも書いてあるはずですよ。
形は普通の錠剤ですが、
飲み込むには大きすぎますし、
口に入れても効果は出ませんからね!
同じように錠剤の形でも、
水に溶かしてから使う点眼薬も
「使う場所が違うんだけど?!」ですね。
次は「口に入れるけど、飲まないで!」という薬。
付着錠、バッカル錠、舌下錠です。
舌下錠については、
狭心症のニトログリセリン舌下錠でおはなししましたね。
バッカル錠は、奥歯(臼歯)の歯茎の外側と、頬の間。
そこをバッカル部位といいます。
バッカル部位に入れて口の中で溶かすので、バッカル錠です。
痛み止めや脂溶性の薬を入れることが多いですね。
口腔粘膜からの吸収ですから、
初回通過効果を受けない点で効果的ですが、
味をごまかすことはできないので
すべての薬では使えませんよ。
付着錠は口内炎の出来ているところに
「くっつける」錠剤です。
錠剤の包装や説明書に
「こちら側を痛いところに
押し付けてください」と指示があるはず。
押し付けると、だ液を吸ってふくらみ、
炎症部分を薬の成分で覆ってくれます。
トローチのように独特な形(ドーナツ状)をしていれば
「ん?飲み込まないのかな?」と一瞬考えることができるはず。
一見ただの錠剤でも、口に入れない薬や、
口に入れても飲みこまない薬があるので、要注意です。
あと、口に入れる薬を自分で分解してはいけません。
今まで見てきたように、
「そのままだと苦い!」「ゆっくり効かせたい!」など
薬がその形をしているには理由があります。
それを「喉に引っかかるから…」
「大きすぎて飲みにくい…」といって分解してしまうと、
薬の効きが悪くなったり、
逆に効きすぎたりして大変なことになります!
飲みにくさがあるなら、すぐにお医者さんに相談!
小さい薬や、
引っかかりにくい形の薬に変えてくれるはずです。
例外として分解していいのは、
「お医者さんが『割って飲んでください』と指示」したときと、
チュアブル錠(咀嚼錠)を飲むときです。
チュアブル錠は口の中で、歯でかみ砕いて飲み込む薬。
口の中で細かくなってから、
その先に進むことが予定されている薬です。
…薬なんて飲めばいいって思ってたけど、
いろんなことが考えられてるんだね…。
そうなんです。
薬の働きそのものだけでなく、体への入れやすさ、効果時間…
考慮されているものがいっぱいあるんですよ。
次回は、早くも遅くも自由自在だけど…
「痛い!」注射薬のおはなしです。
【今回の内容が関係するところ】(以下20221108更新)