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6 各論1:脈・血圧(心臓):不整脈・心不全(2)強心薬(2)

2022年12月14日

カテコラミン製剤の補足に入ります。

 

まず、交感神経系の神経伝達物質ノルアドレナリンが

心臓にあるβ1受容体にはまると、

心筋は強く収縮します。

交感神経系優位時の興奮モード

(闘争か逃走か)のときに、

全身にしっかり血液を届ける必要があるからですね。

ノルアドレナリンがβ1受容体にはまると、

第2メッセンジャーのcAMPが増えます。

ノルアドレナリン(副腎髄質ホルモン)が水溶性だから、

細胞内に情報を伝えるために必要なものでしたね。

cAMPは細胞内の特定の酵素(Gタンパクキナーゼ)を活性化。

Gタンパクキナーゼは、

エネルギーのもとリン酸を付け外しするのがお仕事です。

リン酸のくっついた細胞膜のカルシウムチャネルが開き、

細胞外から

わずかに濃いカルシウムイオンが流れ込んできます。

これで、細胞内のカルシウムイオンが増えましたね。

心筋がしっかり収縮できるようになったのです。

 

カテコラミン製剤の例は、

ドパミン塩酸塩(イノバン)や

ドブタミン塩酸塩(ドブトレックス)。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051960

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00001217

イノバンの禁忌は褐色細胞腫。

交感神経系の神経伝達物質

ノルアドレナリンが出すぎているところに、

同じような働きの薬を入れてしまってはいけませんね。

ドブトレックスでは閉塞性の心筋症が禁忌。

これについては

ジギタリス製剤のおはなしと同じですね。

ドブトレックスは負荷心エコーの検査時にも使われますが、

そのときには禁忌が増えますよ。

ちゃんと添付文書を確認です。

 

カテコラミン製剤の「カテコラミン」とは、

カテコールアミンのことです。

「カテコール」と「アミン」の部分があるのですね。

具体的には

アミノ酸のチロシンからできた「アミン」で、

ドーパミン、ノルアドレナリン、

アドレナリンを指す言葉です。

順番としてはチロシンからL-ドーパができて、

そこからドーパミンができます。

ドーパミンからノルアドレナリンができて、

そこからアドレナリンの完成です。

この流れは、

中枢と精神のところでもまた出てきますからね!

 

また、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬も

心筋収縮力を増やせます。

どこを邪魔しているのかというと、

カテコラミン製剤のところで出てきたcAMPが、

1回使われた後に分解する酵素を邪魔しています。

cAMPが使い捨てじゃなくなりますから…

1回ノルアドレナリンが受容体にはまれば、

「何回もβ1受容体に

ノルアドレナリンがはまった」ことと

同じような働きになりそうですね。

ここから先は、

カテコラミン製剤と同じおはなしです。

 

だから禁忌もカテコラミン製剤のドブトレックスと同じ

閉塞性心筋症ですよ。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20221214更新)