12 各論7:呼吸(中枢・精神):②麻薬系鎮痛薬(1)

少し後回しにしていた、麻薬のおはなしをはじめましょう。

できるだけ簡単に麻薬を整理して、

それから麻薬が使われる「がんの疼痛治療」のおはなしをしますからね。

 

「麻薬」というのは、ケシから作られた麻薬系鎮痛薬の総称。

法律の世界では「法律で禁止している薬物」という意味もありますね。

なぜ禁止するのかというと、麻薬の働きには

痛みを止めるだけではなく多幸感と習慣依存性があるから。

「痛くない!しかもハッピー!これがなくなったら生きていけない!」

…これでは、薬を手に入れるために手段を選ばなくなってしまいますね。

それでは困るので、禁止をかけて。

痛み止めの必要性が高い医療分野では厳しい条件の下で使用を認めているのです。

 

もう少し用語紹介を続けますね。

麻薬系鎮痛薬のはなしをするときには、

オピエートやオピオイド、アルカロイドという言葉が出てきます。

 

「アルカロイド」というのは、植物由来の有機窒素化合物を指す言葉。

強い生理活性をもつものが多いので、1つのグループとしてまとめられています。

身近なコーヒー豆や茶葉に含まれるカフェインをはじめ、

ジャガイモの芽のソラニン、タバコのニコチン、

コカの葉のコカインなど全て「アルカロイド」です。

抗マラリア薬のキニーネも、キナの皮からとれるアルカロイドですよ。

「オピエート」というのは、ケシの中にあるアルカロイドのこと。

「ジャガイモの中にあるアルカロイドはソラニン」と対応させると、

「ケシの中にあるアルカロイドがオピエート」です。

 

「オピオイド」というのは、オピエートからできたもののこと。

モルヒネ、ヘロイン、コデインが「オピオイド」に含まれます。

オピエートとオピオイドの語源(オピウム)はアヘンのこと。

世界史のアヘン戦争の「アヘン」で、ケシの果汁を乾燥させたものですね。

 

だから、オピオイドについて検索してみると…。

「オピオイドはアルカロイド及びモルヒネ様活性を有する

内在性又は合成ペプチド類の総称」と書いてあります。

 

今までの用語理解から、何を言っているのか分かりますよね。

「アルカロイドだから、窒素含んだ生理活性あるもので…。

『内在』ってことは体の中でも作られてるってことかな?

『合成』だから、人工的に作ることもあるんだね。

『ペプチド』はアミノ酸結合の名前だから、タンパク質の仲間で…

ん?『モルヒネ様活性』は?」

 

モルヒネ様活性(モルヒネ様作用)は、

オピエートによって生じる鎮痛・陶酔作用のことですね。

過度・過量では呼吸抑制や昏睡を引き起こしたり、依存症を生じたりします。

 

ここで最初の「麻薬とは、ケシから作られる麻薬性鎮痛薬」を見直しましょう。

「そっか!オピエートによって鎮痛・陶酔作用が出るんだ!

モルヒネ、ヘロイン、コデインが含まれるんだね!」

では、次回は医療用麻薬についてもう少し見ていきますよ。