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6 各論1:脈・血圧(心臓):不整脈・心不全(2)強心薬(3)

2022年12月14日

心不全の原因(心筋収縮力低下の原因)には

いろいろありますが。

そのうちの1つが高血圧です。

 

体内の血液量が多い

(または血管が狭くなってしまった)ため、

全身に血液を送る心臓が

必要以上に頑張らなくちゃいけない状態で…。

結果、心臓がばててしまいます(心不全)。

 

血管を広げる薬については、

狭心症のところでおはなししてありますね。

ここでは次の「血管」のおはなしにもつながる

「利尿による降圧剤」の一部をおはなしします。

 

利尿剤にもいろいろあるのですが、

ここでは

レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系を邪魔する

ACE阻害剤のご紹介です。

レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系は

生化学の腎臓のところでおはなししましたね。

「血圧を上げるために唱える呪文」でした。

だから、ここを邪魔すると血圧を下げることができます。

 

「尿量が増えると、体内水分量が減り、

体内循環量も減って血圧が下がる」

これ、早めに慣れてしまってくださいね。

 

具体的に邪魔するところは、

アンギオテンシン1を

アンギオテンシン2に変える酵素

(アンギオテンシン変換酵素:ACE)です。

 

アンギオテンシン2は、

アルドステロンに命令して

「ナトリウムイオンと水を再吸収して、

カリウムイオンを分泌」させていましたよね。

水分が尿細管内(体の外)から

毛細血管内(体の中)へと移動しますから、

体内循環量が増えて血圧が上がります。

さらにアンギオテンシン2は

自分だけでも血管を収縮させる働きがあります。

そんなアンギオテンシン2を邪魔しますから、

血管内径の意味でも

循環量の意味でも血圧が下がるのです。

 

効きが強くて便利に思えますが、

残念ながら禁忌が多め。

例えばACE阻害剤に含まれるカプトプリル。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00062971

人工透析をしている人では、

人工透析用の膜やフィルターとの関係で、

血管拡張作用が強く出すぎる危険があるので禁忌。

妊娠中、妊娠可能性のある人、

授乳中の人も禁忌。

胎児毒性・催奇形性、

母乳中移行が報告されています。

また他に特定の降圧剤

(アリスキレンフマル酸塩:ラジレス)を使っている人も、

腎障害や低血圧リスクが高いので禁忌です。

 

さらに、血管浮腫になった人も禁忌。

血管浮腫は皮膚や気道、

消化管等に出来る突発性のむくみ。

唇だけにできると「たらこ唇」状になります。

基本的に数日で消えるため、

軽度なら病院にもかからずに

放置されることも多いのですが…。

気道にできると、

空気が通れずに呼吸困難に陥ってしまいます。

だから血管浮腫の誘因になりうる

ACE阻害剤の禁忌になるのです。

 

降圧のおはなしは、章をまたいで続きますよ。

次回からは「7章 血管」になりますが、

血圧に関する薬のおはなしは

続いていきますからね。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20221214更新)