6 各論1:脈・血圧(心臓):心筋梗塞・狭心症(2)血管拡張薬(1)
心筋梗塞は生命の大ピンチですから、
そんなことになる前に防ぎたいものです。
事故等で
いきなり詰まるもの(塞栓子)が飛んでくるならまだしも、
サインがあるならそこで対応したいですね。
サインの1つになるのが、狭心症です。
狭心症の痛みが出る場所は、
心筋梗塞と同じ胸部や心窩部。
押される、締め付けられるような痛みが
数分続き…治ります。
治ってしまうので「…ま、いっか」と放置されがち。
この痛みは動脈が一時的に狭くなったせいで
「血液足りなーい!苦しいー!」と心筋があげている悲鳴。
血管自体が狭さにけいれんを起こすこと(攣縮)も
痛みの一因です。
「一時的な狭まり」で済んでいるうちに対応しないと、
心筋梗塞になってしまうかもしれませんね。
心筋に血液を届ける冠状動脈が一時的に狭くなってしまう原因は、
1つではありません。
血管の太さを調節する平滑筋のせいかもしれません。
血管の内側(内腔の直径:内径)が
狭くなっているせいかもしれません。
先天的な狭さ(狭窄)ではなく、
後から狭くなった原因には脂質等による粥状硬化が代表的ですが…
それについてはもう少し後で。
ここでは、血管の平滑筋に効く薬を説明しますね。
血管の平滑筋を収縮させないためにはどうしたらいいか。
筋肉への収縮命令をブロックするか、
筋収縮に必要なイオンの流れ込みを邪魔すればいいのです。
これが「β遮断薬」や
「Ca拮抗薬(カルシウム遮断薬とも呼ばれる)」です。
筋肉の収縮の簡単な復習を兼ねて、
カルシウム拮抗薬のおはなしからスタート。
細胞の通常(ノーマル)状態は、
細胞内(の電位)がマイナスになっていましたね。
ここに電気刺激(収縮命令)が来ると、
ナトリウムチャネルが開き、
ナトリウムイオンがプラスの(電気を帯びている)せいで
細胞内(電位)はプラスになります。
プラスになるとナトリウムチャネルは閉まり、
代わりにカルシウムチャネルが開きます。
やがて細胞内外のカルシウム濃度が同じになって、
チャネルは開いていても
カルシウムイオンが流れ込まなくなります。
そうすると開きっぱなしのカリウムチャネルのせいで、
細胞内(電位)はマイナスに戻ります。
この「マイナス→プラス→マイナス」の変化によって、
周囲の細胞に電気刺激(収縮命令)が伝わっていくのです。
収縮命令を受けた細胞は自分が収縮しつつ、
周囲にもその命令を伝えていく…ここまでいいですね?
理解できていない人は、ちゃんと解剖生理学で復習ですよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20221214更新)