7 各論2:脈・血圧(血管):高血圧・低血圧(2)昇圧薬(2)
前回のお薬の禁忌等を、
簡単なところから紹介していきましょう。
シンプルなのはα受容体刺激薬のミドドリン。
甲状腺機能亢進症と褐色細胞腫が禁忌です。
http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00061045.pdf
「甲状腺機能亢進中では、
交感神経系刺激で過度な反応を示すことがある」
こう添付文書に書いてあります。
でも甲状腺機能が亢進していたら、
原則として高血圧に傾くはずです。
また、褐色細胞腫は副腎髄質ホルモン産生過剰。
これまたノルアドレナリン過剰なら、
高血圧に傾くはずですね。
だから、これら禁忌のときに
病気そのもので昇圧を必要とするとは考えにくいですね。
これらの病気で昇圧必要性があるのなら、
そのために使っている薬の副作用等を考えた方がよさそうですよ。
また、受容体刺激のエチレフリン(エホチール)もシンプル。
心室性頻拍のある人は禁忌です。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00056275
交感神経系が刺激されたら、
興奮モードになりますから心収縮は早く強くなります。
もともと頻拍の人に交感神経系受容体を刺激したら、
頻拍がひどくなってしまいますね。
イメージ、難しくないと思います。
神経伝達物質そのものに関係するお薬は、
禁忌が増えてきますよ。
アメジニウム(リズミック)は、
不活性化を邪魔することで
ノルアドレナリンが「増えたように」する薬。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00000102
褐色細胞腫と甲状腺機能亢進症が禁忌なことは、
いいですよね。
追加して高血圧症、緑内障、
残尿のある前立腺肥大症の人も禁忌です。
交感神経系優位モードは、
心拍出力が向上して血圧が上がるので、高血圧は悪化。
瞳孔が開くので、
寄せたカーテン(虹彩)のせいで房水の行き場がなくなり、
眼圧上昇して緑内障が悪化…までは今まで勉強してきた通り。
前立腺肥大は、そもそも尿閉の一原因。
男性の膀胱出口付近(尿道とのつなぎ目)は、
前立腺が取り巻いています。
性交時に前立腺液を分泌する、生殖器系の一部ですね。
前立腺内の平滑筋(膀胱の出口付近も)には、
α1受容体がたくさんあります。
そこに交感神経系神経伝達物質が増えたように働き続けたら、
尿道がどんどん狭くなり…尿を出せません(尿閉)。
尿は体の外に捨てるためのもの。
捨てなくちゃいけないものを捨てられない尿閉は
危険な状態です。
前立腺が肥大しているだけでも十分リスクなのに、
さらに尿閉の可能性が高めてしまうのですから、
禁忌になるのです。
【今回の内容が関係するところ】(以下20221226更新)