7 各論2:脈・血圧(血管):高血圧・低血圧(2)昇圧薬(4)

ボスミンは緊急蘇生時にも使われる昇圧薬です。

末梢血管を収縮させるので、

手術時の局所止血(予防にも治療にも)、

局所麻酔の効いている時間を長引かせるときにも使われます。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057227

便利なのですが…正体はアドレナリンそのもの。

禁忌と原則禁忌はどうしても多くなりますよ。

 

禁忌は、緊急蘇生時を除くカテコールアミン製剤・アドレナリン作動薬の使用中。

眼圧上昇の素因のある人や、

アナフィラキシーショックの救急治療時を除く

α遮断薬や抗精神病薬使用中の人も禁忌です。

 

最近(2019年3月)、

アナフィラキシーショック治療時の上記対象者へのボスミン使用が

「禁忌」から「併用禁止」に変わりました。

https://www.jsaweb.jp/modules/news_topics/index.php?content_id=263

確かに、過度の昇圧反応から不整脈を起こして、

死の危険があることに変わりはありません。

でも、そこで使用をためらっていては

アナフィラキシーショックの気道閉塞で窒息してしまいます。

だから救命をためらわせないために、禁忌の区分から外したのでしょう。

 

「特に必要とするときには使っていいけど、慎重に!」という原則禁忌も確認です。

 

甲状腺機能亢進症、心室頻拍等の重症不整脈、

交感神経系作動薬に過敏な反応を示す人が含まれることは、

今までのおはなしから分かるはず。

コカイン中毒の人も、薬の働きが強く出る恐れがあるので原則禁忌です。

コカインは交感神経系末端での

カテコールアミンの再取り込みを阻害するので、

「不活性化邪魔」と似たような働きが出てしまうのですね。

 

あと、動脈硬化症の人は、

血管収縮作用で閉塞を起こしてしまう恐れがあるので原則禁忌。

糖尿病の人も、

肝臓のグリコーゲン分解促進やインスリン分泌抑制から

高血糖になる恐れがあるので原則禁忌です。

…これ、交感神経系優位の興奮モード(闘争か逃走)では、

ATPをたくさん作る必要があることを思い出せれば、理由が分かりますね。

大事なところなので、ちゃんと復習しておきましょう。

 

不安障害等の気分変調性障害(精神神経症)の人は、

飲んでいる薬との関係で不眠・易刺激性・情緒不安定・錯乱等が

悪化する恐れがあります。

「精神の働きにも交感神経系の神経伝達物質が関係しているんだな…」と分かれば、

とりあえずオーケーです。

 

以上、たくさんの禁忌と原則禁忌でした。

「いろいろなところに悪影響が出てくる危険があるんだなぁ…

それでも蘇生は最優先!」と分かってくれましたね。

次回はもう1回アドレナリンそのものを増やすお薬、

エピペンのおはなしです。