12 各論7:呼吸(中枢・精神):②麻薬系鎮痛薬(3)

モルヒネ塩酸塩水和物(モルヒネ塩酸塩)は、

がんに使われる鎮痛効果があるお薬(麻薬)。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00055748

鎮咳、麻酔補助、激しい下痢症状の改善、手術後の腸管抑制にも使われます。

 

多岐にわたる働きを整理しておきましょうか。

中枢に対しては意識・知覚・運動に影響なく、痛みの感受性を減らします。

これが「鎮痛」です。

呼吸中枢や咳中枢を抑制して、「呼吸鎮静・鎮咳作用」。

体温調節中枢の抑制作用もあります。

消化器系に対しては消化液の分泌と胃腸管の運動を減少・低下させます。

これが「止瀉(ししゃ)作用(:下痢止め)」ですね。

循環器系に対しては、薬が多量になると血圧降下作用。

他にも汗腺以外の外分泌腺分泌抑制、瞳孔縮小作用もあるのが

モルヒネ塩酸塩水和物です。

 

薬の働きを確認したので、禁忌は難しくありませんよ。

「モルヒネ」が含まれるアヘンアルカロイドアレルギーの人には禁忌。

呼吸抑制をしてしまうので、

重い呼吸抑制状態の人や慢性肺疾患による心不全のある人、

急性アルコール中毒の人にも禁忌。

気道分泌物が減ってしまうので、気管支喘息発作中の人にも禁忌です。

また、腸の動きが止まってしまうせいで

治るまでに余計な時間がかかってしまいますから、

出血性大腸菌や赤痢等の重い細菌性下痢は禁忌。

単なる細菌性下痢も、原則禁忌に入っていますね。

重い肝障害は昏睡危険、

けいれん状態の人には脊髄刺激効果が出て症状が悪化してしまう可能性があるため

禁忌になりますよ。

 

併用注意、慎重投与対象はほぼコデインリン酸塩水和物と重なっています。

中枢抑制をしてしまう薬は、呼吸抑制危険が高まるから併用注意。

どんな薬が含まれるか思い出せますか?

ちょっと思い浮かべてから、コデインリン酸塩水和物の説明を見直してみてください。

「なぜそうなるか」も説明できると、なおいいですね。

抗コリン薬は麻痺性イレウスを起こし得る便秘や尿貯留の可能性があるから。

抗ウイルス薬のジドブチンはモルヒネが代謝の邪魔をして効果が強く出がち。

オピオイド系鎮痛薬のブプレノルフィンは、

受容体の競合関係でモルヒネの効果を弱めてしまいます。

そしてワーファリンの働きはなぜか増強されることになります。

 

慎重投与対象は「呼吸抑制危険のある人」「副作用の恐れがある人」

「消化管の働きが抑制されている人」「排尿障害がある人」

「薬物依存も既往がある人」ですね。

具体的にどんな人が当てはまるか、

頭の中で考えてみてから添付文書を確認してみましょう。

新生児や幼児が呼吸抑制危険に入ることをお忘れなく!

 

モルヒネの使い方としては、

坐剤や内服液(もしくはカプセル剤)が基本。

坐剤のメリットは、初回通過効果を受けないこと。

カプセル剤には薬の放出をコントロールできるものもありましたね。

経直腸か経口のどちらも使えないときには注射薬を使うことになります。