8 各論3:体温(消化器系):肝胆膵(3)肝臓・代謝異常(4:糖尿病2)
運動療法と食事療法に加えて
経口剤(飲み薬)でもうまく血糖コントロールができないなら。
そのときはインシュリン注射の出番です。
約1割のインシュリン依存型(IDDM)や、
重篤な状態にある人では最初からインシュリン注射ですね。
「インシュリン注射」といっても、
たくさんの種類があります。
効き出すまでの時間と持続時間で、大まかに分けられますよ。
10~20分前後で効き出して3~5時間効く「超即効型」。
30分~1時間で効き出して7時間前後効く「即効型」。
1時間前後で効き出してほぼ24時間効く「中間型」。
他にも1~2時間で効き出してほぼ24時間効くけど
血中濃度にピークがない「持効型溶解インスリン」や、
30分ぐらいで効き出して
24時間ぐらい効く「混合型」もあります。
細かい区分を覚えるのではなくて、
「効果が出るまでと持続時間にはいろいろある」ことが
分かってくれればオーケーですよ。
インシュリン注射で大事なことは、
患者さんが自分で適切に注射できるようになる
(薬品管理を含む)「患者教育」と、低血糖対策です。
禁忌のところに「低血糖症状」ともありますから、
ちゃんと確認していきましょう。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00058366
低血糖対策は患者教育の一部でもあります。
血糖値が下がるということは、
血液中のグルコースが減るということ。
最終的には「細胞がグルコースを必要としたときに、
グルコースを取り込めない」ということにつながります。
全身をコントロールしている脳がグルコース不足になったとき、
最初は脱力感、めまい、頭痛、倦怠感が出てきます。
放置していると、冷や汗、動悸といった自律神経症状や
不安、興奮といった精神症状も出てきます。
この先は、けいれん、意識障害や昏睡です。
こんなことになったら大変ですね。
だからヒトの体はケトン体を脳の非常食としていますが、
薬(特にインシュリン注射)で、
急に血糖値が下がったときには間に合いません。
そんなときにはグルコース(ブドウ糖)タブレット。
常備して、最初の軽度症状のうちに口にして一休み。
15分経ってもよくならないなら、もう1つ追加です。
市販品は必要量より少なめ
(本来必要なのは5~15g、市販のタブレットは2~3gが多い)
なので、医療用を準備しておくこと。
本当に「もしも!」の緊急時には
ジュースやキャンディーも使えます。
だけど近日は甘味にグルコース以外のものを使ったものが多いので、
一度ちゃんと確認しておいてくださいね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230222更新)