8 各論3:体温(消化器系):小腸・大腸(2)大腸(1:潰瘍性大腸炎とクローン病2)
クローン病は原因不明の難病の1つ。
効く薬は限られますが
…インフリキシマブは「効く」薬の1つです。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00067171
マクロファージが作る腫瘍壊死因子(TNFα)にくっついて、
変になった細胞を壊す(細胞障害)を邪魔する薬です。
この薬は遺伝子組み換えで作られた、
モノクローナル抗体のお薬ですね。
使うタイミングは、すごく限定的です。
「抗炎症剤と栄養療法で不十分のとき」ですね。
はっきり言って、禁忌と警告を読むだけでも結構大変。
それくらい
「危ないけど、他にどうしようもないときに使うからね!」です。
簡単に見ていきましょう。
禁忌は敗血症レベルの重篤感染症、活動中の結核、
脱髄性疾患、うっ血性心不全。
これらの症状が悪化してしまう恐れがあるからです。
脱髄性疾患というのは、
(神経細胞の)軸索の周りにある髄鞘がおかしくなったせいで
神経の情報伝達がうまくいかなくなってしまった病気のこと。
「呼吸」ブロックの中枢のところでお話しできるはずですよ。
警告も簡単に。
「クローン病は完治するものではないですよ。
他の治療法はちゃんと試しましたか?
アナフィラキシーショックが出る可能性があります。
遅発性過敏症も出る可能性がありますよ。
『アレルギーが出るものだ』というつもりで、
準備しておいてくださいね」
…と警告してくれています。
このように完治を目指せない
(うまく付き合っていくもの)病気はそれなりにあります。
栄養療法の重要性、ググっと上がりますね。
そして過敏症(アレルギー)は早かれ(Ⅰ型)遅かれ(Ⅳ型)、
何かは出るつもりでいてください。
少なくとも生命直結のアナフィラキシーショックに対しては
「準備オッケー!」にしておくことです。
それがなくとも、いつⅣ型が出てくるか分かりませんから、
ちゃんと患者さんの状態を見ていてくださいね。
次回は、身近な下痢と便秘のおはなしに入りますよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230318更新)