2 「健康」とは:(2)「よく生きる」ために[補足4]
運動の効果の続き。
「生活機能低下防止」のおはなしですね。
生活の質(QOL)を維持するためには、
日常生活における動作をこなせる身体機能が必要不可欠!
自力でベッドから起き上がれて、トイレに行って用を足せますか?
椅子に座って出された食事を口に運び、飲み込めますか?
1人で入浴して(浴槽のふちをまたぎ、椅子に腰かけて全身を洗い)、
着替えることができますか?
今の皆さんにとっては「当たり前!」のことが、
骨と筋肉が衰えるとどんどんできなくなっていきます。
骨と筋肉にとって、運動はその量を増やし・維持するために必要な
「適度なストレス(刺激)」です。
適度な刺激を与えることで骨代謝は正常に行われ、
筋細胞は収縮力が維持され(ときには増加し)ます。
骨や筋肉の「量維持・低下予防」に注目するなら、
「1日10分、より長く歩く」でも意味があります。
ただ「向上」を目指すなら、
「1回あたり30分以上の運動を、週2回以上(4メッツを1時間/1週間当たり)」
が目安になりますので、少々敷居が高くなりますね。
健康と運動の話をすると「メッツ」という単位が出てきます。
これは運動の強さを示す単位で、
安静にしているときを「1」として、何倍のエネルギーを消費するか…というもの。
残念ながらまだ一般的ではないので、
慣れるまではイメージしにくい単位ですね。
大まかには座って1メッツ、立って2メッツ、歩いて3メッツ。
やや速歩で4メッツ、かなり速歩で5メッツです。
もう少しイメージしやすいものに、
脈拍と自覚状態を使う「自覚的運動強度(Borg指数)」があります。
例えば糖尿病・高血圧・動脈硬化(脂質異常症)のある人の運動では
「きついと感じない程度(ジョギングが6メッツ、それ未満)の運動を、
30分以上、週3回以上が効果的」としていますね。
脈拍数になおすと(年代によってかなり幅が出ますが)
20代なら170回/分、60代なら135回/分が目標値。
ここに近づきつつ、超えないくらい…
ゆっくりとジョギング、かなり速歩、のんびり水泳をイメージしてください。
もちろん、足腰に問題があっても運動はできますよ。
真面目にラジオ体操第1をこなせれば、それだけで4メッツの運動です。
椅子に座った真面目なラジオ体操第1も、2.8メッツになります。
これを毎日の習慣にすれば、
「やや速歩(椅子に座っているときには「歩いて」)」で10分運動したのと
ほぼ同じ運動量になります。
「今さら…」と思わず、真面目にラジオ体操をしてみましょう。
上半身の筋肉にもまんべんなく刺激を与えることのできる、良質の運動です。
意外なほど体のあちこちに効いていることが分かるはずです。
運動とヒトとの関連性はこれだけにとどまりません。
運動による疲労回復に伴い、安眠・ストレス解消にも役立ちます。
骨や筋肉のところでも出てきた言葉「ストレス」。
ちょっと確認しておきましょうか。
次回の補足は「ストレス」についてです。