3 憲法・法律:(3)民法レベル[補足1]
憲法の定めを具体化していく民法レベルのおはなし。
ここでは憲法25条の定める「生存権」の具体化(生活保護法)の
おはなしを補足することにしましょう。
生存権というのは、国民が有している
健康で文化的な最低限度の生活を営む権利のこと。
同時に、国に対して(すべての生活部面について)
社会福祉・社会保障及び公衆衛生の向上と増進に努めるように義務付けています。
「憲法に定められている権利だ!自分には生きる権利があるんだぞー!」
…それは、確かに、そうなのですが。
「生存権」そのままでは、誰に、何をしてもらえるか全くわかりません。
だから「誰に言えば」「何をしてくれるのか」を明らかにする法律があります。
それが生活保護法です。
生活保護法は国が生活に困窮するすべての国民に対して、
困窮の程度に応じた必要な保護をして、
最低限度の生活を保障しつつ自立を助けるための法律です。
「困っているの!助けて!」と困っている人が声を上げないと(申請しないと)、
国は保護することができません。
「助けて!」という相手は福祉事務所の生活保護担当。
市・区に住んでいるならその市・区にありますよ。
町・村に住んでいるなら、都道府県が福祉事務所を設けていますし、
町役場や村役場が受け付けてくれますからね。
だから「誰に言えば」の答えは、「福祉事務所(か町・村役場)」ですね。
生活保護法の定める保護の内容は、
「生活扶助」「教育扶助」「住宅扶助」「医療扶助」
「介護扶助」「出産扶助」「生業扶助」「葬祭扶助」。
生病老死(出産・医療・介護・葬祭)と、衣食住(生活・住宅)がカバーされて。
あとは憲法で定められた教育を受ける権利と、労働の権利に対応した扶助ですね。
出産扶助は…自宅分娩を前提とした定め方をしています
(介助、処置、ガーゼ等の衛生材料)。
この法律ができたころ(昭和25年:1950年)では、
自宅出産が日常だったのでしょう。
基本は金銭給付ですが、現物給付(サービスの提供)も可能です。
ちゃんと資格のある指定を受けた助産師の助産を受けることができます。
医療扶助には診察や薬剤、処置や手術、入院療養や在宅療養、
そして移送(移動手段)も含まれます。
これは基本が現物給付(サービスの提供)。
金銭給付は例外になります。
医療扶助現物給付は指定を受けた医療機関でされるものなので、
事前にかかる医療機関を確認しておく必要がありますよ。
ジェネリック医薬品があるときには、
原則として(同じ効果で安く済む)ジェネリック薬を使うことになります。
介護扶助以降については次回おはなししましょう。