4 行政・制度:(1)健康保険制度(1)
憲法、民法、刑法とおはなししてきました。
もうそろそろ、「制度」のおはなし
(行政とそれに関係する法律)に入ってもよさそうですね。
今までは「医療従事者個人」についてのおはなし。
この先はそれを取り巻く「枠」…
看護を提供する「場(環境)」のおはなしになると思ってください。
大まかな流れは、衛生統計・法制行政全体のイントロダクションで紹介済み。
ここでは、
医療提供の基礎になっている医療・保険制度からスタートしましょう。
みなさんは医療機関にかかるときに保険証をもっていきますね。
忘れると、ちょっと見てもらっただけなのに会計額が跳ね上がって
びっくりすることになります。
その理由は、保険証が医療保険制度に入っていることの証明書だからです。
医療保険制度について、簡単にまとめますよ。
この制度の目的は
「国がある程度のお金を援助するから、
病気になったらちゃんと医療機関にかかってね!」というもの。
国民の健康を守るための制度で、
ちゃんと法律で定めてありますよ(国民健康保険法)。
国の金銭的援助に100%頼るのではありません。
普段から保険料を支払って(預かるところに預かってもらっておいて)、
いざ医療機関にかかったら、
預けておいた保険料の貯めてある分(ストック)から
決められた割合を払ってもらう形式です。
これが「保険」という仕組み。
保険金を預かるところは「保険者」、
保険料を収める人(イコール医療機関にかかる人)は「被保険者」と呼ばれます。
国の金銭的援助は、
貯めてあるところ(ストック)に追加する形で行われますよ。
こうすることで、
現在の日本では実際にかかった医療費の3割を支払えば、
医療機関にかかることができます(自己負担割合3割)。
しかも国民全員が加入できる「国民皆保険」です。
なお、多くの人にとっては「3割負担」ですが、
小学校就学前の小児の医療費は「2割負担」です。
65歳以上の高齢者に対しては、
あとで「後期高齢者医療制度」のところでおはなししますね。
これが極めて単純化した医療保険制度のしくみです。
もう少しおはなししたいことはありますが、
それは補足にまわして、先に進むことにしましょう。
日本では当然のこの仕組み、外国では当然ではありませんよ。
次回、アメリカの例で確認しましょう。