4 行政・制度:(1)健康保険制度(1)[補足10]

2019年12月6日

前回、診療報酬による医療機関の誘導(コントロール)を確認しました。

ここで、医療機関の収入と支出を見てみることにしましょう。

 

医療機関の収入の多くは、

保険診療の「残り7割」に相当する医療保険の支払い。

受療者本人に窓口で支払ってもらう自己負担分は、

原則3割しかありませんでしたね。

 

他に収入手段がないのかというと…

ところによっては保険医療外の「自由診療」をしていますね。

これなら受療者が10割を払ってくれますが、

「こんなに払うの?!高いよ!」と言われてしまいます。

それでも受療する特殊な内容

(例えば美容整形の施術の一部)なら、

納得して支払ってくれる人もいると思います。

 

でも、医療機関全体の収入として考えればそれは少数派。

やっぱり、医療機関の収入の多くは医療保険の「残り7割」のようです。

 

かたや医療機関の支出は約50%を人件費が占めています。

約30%が薬等の消耗品費、

残りは土地や建物、各種レンタル代などですね。

 

「ん?

前回『7:1看護配置』ってやったけど…

たくさん看護師を雇ったら、人件費で逆に支出が増えちゃわない?」

 

もしそんなことになったら、医療機関をコントロールできませんね。

だから「一見人件費が高くつくように思えても、

ちゃんと考えれば『7:1看護配置』にした方が収支がプラスになる」額に

診療報酬を定める必要があります。

 

保険金のストックが有限であることを前提とすると、

結構絶妙なバランスが要求されますよ。

 

そんな「診療報酬」の決め方を、ごく簡単に紹介しましょう。

 

担当は、主に厚生労働省。

厚生労働大臣に意見を述べる「社会保障審査会(各領域の専門家)」が、

改正内容の方向性を決めるところです。

先程の例だと、

「入院患者1人当たりの看護師の人数を増やそう!」ですね。

 

そして内閣(行政担当の合議体)で、改定率を決めます。

財源担当の財務省と、サービス担当の厚生労働省が軸になって

「国全体としての診療報酬に支払う額の増減」を決めるのです。

「サービス改善の必要性が高いから、

診療報酬全体として支払う額を増やしますよ!」だと、

「プラス改訂」になりますね。

 

改訂率とそのプラスマイナスを受けて、

厚生労働大臣が「中央社会保険医療協議会」に

「改正の具体的内容」を検討するように依頼します。

これまた、各領域専門家の集まりです。

診療報酬を受け取る側、支払う側、中立の立場の人も参加しますよ。

ここで、絶妙なバランスの診療報酬が決まります。

 

あとは中央社会保険医療協議会が厚生労働大臣に報告し、

厚生労働大臣がそれを発表(告示、通知)。

これで新しくなった(改定された)診療報酬がスタートします。

 

次回、診療報酬の改定を各種環境変化の視点から見てみましょう。