4 行政・制度:(3)欠点の改良(2)
改良点の3つ目。
金銭の回復に対しては
「介護保険制度」と「高齢者医療制度」が代表ですね。
もちろん1つ目の「早期介入」によって、
軽度医療介入で済む人が増加すれば(重症化してからの介入が減れば)、
ある程度の医療費負担削減も金銭回復につながりますよ。
「介護保険制度」は
「できることは自分でやってもらおう、
できないところだけお手伝いしよう(介護)」という制度。
「保険」なので、健康保険同様に
「普段は保険料払い込み、必要になったら金銭援助」の形式です。
「できることは自分でする」ことは、
筋骨格系の維持や日常生活機能の維持につながりますし、
自尊心の向上にも役立ちます。
だから制度目的や方向性自体は何ら間違ってはいなかったのですが…
いざ運用したところ、少々想定が甘かったようです。
まず「できないところ」の判断(介護度判定)に時間がかかりました。
次に介護を必要とする人が最初から想定よりはるかに多く、
しかも着実に増加の一路をたどりました。
さらには「お手伝い(介護者)」に対して
支払うための予算が想定外に多く必要なことが、
運用を開始してから分かってきたのです。
…結果「国の制度だけじゃ全然足りない!
別に民間の業者さんに頼まないと、日常生活が不安!」になってしまったのです。
当然ながら、民間業者に頼むためには介護保険保険料とはまた別の
「サービスの代金(対価)」が必要になります。
その代金を稼ぐために家族が働きに出る時間が増えると、
ますます「できないことに対するお手伝い」が増える…
こんな悪循環すら起こっています。
「お金がかかるから」の影響は、
出生につながる性行動や医療機関受療行動にも跳ね返っていくことは、
今まで確認してきた通りですね。
同様に高齢になればなるほど有病率が上がることも確認済み。
しかも風邪のような「寝ていれば治る」ではなく、
がんのような「適切な治療を必要とするもの」が着実に増えます。
医療費がなにかと高くかさみがちな
高齢者の医療を支えるために設けられたのが、高齢者医療制度。
これまた「日頃から一定額を支払っておき、
該当年齢以降の受療で金銭援助(保険)」のスタイルです。
残念ながら、この高齢者医療制度も問題は山積みです。
想定より高齢化のスピードが早く、
高齢者の数は着実に増える一方で、かかる医療費は減ってくれません。
かたやお金を負担することになる世代の負担は大きく、
不公平感の根本的解消には至りません。
さらには国や地方公共団体の金銭負担もかさみ…
これまた改善するところだらけのようですね。
次回、現状をまとめてから全体のまとめに入りますね。