3 循環器系のおはなし(7)
めぐる場所、血管のおはなしです。
血管は動脈、静脈、毛細血管に分けられます。
まずは、見た目で比較していきましょう。
動脈は分厚い血管壁が特徴。
これは心臓(左心室)から送り出されたばかりの
勢いの強い血液を
受け止めて流す役割があるからです。
だから血管壁は分厚いだけではなく、弾力もあります。
必要に応じて広がって、
血液の圧力が高くなりすぎないようにするのですね。
…動脈の血管壁に弾力がなくなると、
この「広がる」ができなくなります。
そうすると血液の圧力が高くなりすぎて、
時と場所によっては「高血圧」の悪影響が出てきます。
動脈血管壁に弾力がなくなる原因はいろいろありますが、
「動脈硬化」が有名かつ有力ですよ。
動脈硬化については、もう少し先でまた出てきますからね。
静脈は全身から心臓に戻る血液が流れるところ。
血液の勢いはそんなに強くないため、
血管壁は薄くて大丈夫です。
でも血液の勢いが弱いということは、
心臓まで戻っていくために一苦労ということです。
足の先から重力に逆らって心臓まで戻るのは、
考えただけでも大変そう。
だから、静脈には逆流防止の弁があります。
動脈と静脈の間をつなぐのが、毛細血管です。
「毛のように細い」ので、毛細血管。
血管壁は薄い1層の細胞。
だから、肺胞で酸素や二酸化炭素の交換を妨げないのです。
しかも血管壁細胞の間は、少し隙間が空いています。
この隙間のおかげで、
血液の液体成分は組織に染み出し
細胞に栄養分を届けることができます。
毛細血管の構造は「交換」に優れているのですね。
基本的構造が分かったところで、
循環の基本をおはなししますね。
まずは「体循環」と「肺循環」を理解しましょう。
体循環は、心臓が全身に血液を巡らせる循環です。
左心室から送り出された血液は、
大動脈を通って全身に向かいます。
毛細血管で細胞の近くまで行って、細胞に栄養分と酸素を提供。
二酸化炭素と不要物を毛細血管に持ち帰って、大静脈に合流。
大静脈は右心房に戻ってきます。
ここまでが、体循環。
細胞のところに着くまでが
「酸素の多い血液」動脈血です。
細胞のところから去るときには
「酸素の少ない血液」静脈血ですよ。
肺循環は心臓と肺の間の循環です。
右心室から押し出された血液は、
肺動脈に流れ込みます。
肺動脈を通っている血液は、
二酸化炭素の多い静脈血です。
肺胞の毛細血管で、
二酸化炭素と酸素のガス交換が行われます。
ここから肺静脈に合流して心臓へ戻っていく血液は、
酸素の多い動脈血。
肺静脈が左心房に戻ってくる…ここまでが肺循環です。
体循環と肺循環の違い、分かりましたか?
次回はそこを復習してから先に進みましょう。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220831更新)