12 各論7:呼吸(中枢・精神):⑤てんかんの薬(3)

てんかんの薬としてクロナゼパムとゾニサミドを紹介しました。

以前は使われていた薬として、

フェノバルビタールに代表されるバルビツール系てんかん薬があります。

「中枢抑制薬」と呼ばれる大ブロックの1つ「バルビツール系」ですね。

GABA受容体に作用するてんかん薬、麻酔の術前薬として使われてきましたが、

近年はあまり使う機会はありません。

その理由は、薬の効果濃度と副作用の出る濃度が近すぎるから。

すぐに副作用や依存症が出てしまう「使いにくい」薬なのです。

特に抗てんかん薬として使ったときに、

急に薬を中止するとけいれんがひどくなる「けいれん重積」が起こる可能性があります。

 

「中枢抑制薬」のもう1つの大ブロックフェノチアジン系は抗精神病薬と呼ばれます。

「精神の病気に抗(あらが)う薬」そのままなのですが…

分かったような分からないような変な感じですね。

もう少し具体的に言うと、

主に統合失調症(昔の「精神分裂病」)、

うつ病や双極性障害(「躁うつ病」)等に効く薬の集まりです。

次におはなしするパーキンソン病の終わりのところで

(フェノチアジン系)プロメタジンを、

もう少し先では統合失調症に効くフェノチアジン系のクロルプロマジンを紹介しますね。

 

神経細胞内の情報伝達手段(電気)のおはなしから、

神経細胞間の情報伝達手段(神経伝達物質)のおはなしへ。

 

神経伝達物質にはモノアミンをはじめたくさんの種類があります。

神経伝達物質の働きが変になると、

情報伝達が変になり、病気になってしまうこともあります。

その一例として、パーキンソン病とパーキンソン病に効く薬についておはなしします。

 

パーキンソン病で変になってしまった神経伝達物質はドーパミン。

体内で作られるドーパミンが減ると、

ドーパミンで情報を伝達していた線条体や中脳黒質がうまく働けません。

そこが担当していたのは、意図的に身体を動かすときの運動の統合。

いざ歩き出そうとするとき、「足を動かせ」だけでは歩くことはできません。

片方の足を上げ、体の重心を少し前に傾け、

転ぶ前に上げた足を前方に着地させて、もう片方の足で蹴り返すことが必要です。

…いちいち個別に命令していたら大変ですね。

これら筋肉の運動命令を目的通りに動けるようバランスをとってくれるのが、

小脳であり、大脳基底核の線条体や中脳黒質なのです。

 

ドーパミンの不足でパーキンソン病になってしまうと、

無動、筋固縮、振戦、姿勢維持反射の異常が見られます。

運動統合命令がうまくいかなかった結果ですね。

この4つの症状が、パーキンソン病の4兆候ですよ。

 

次回、パーキンソン病に効くお薬のおはなしに入ります。