5 脳神経系と内分泌系のおはなし(5)
聴覚(聞く)のおはなしです。
普段見える耳は、「外耳」といって音を集める役目。
顔の外側に出ている、
いわゆる「耳」から鼓膜までが外耳です。
その内側には中耳と内耳があります。
内耳が、音を電気の信号に変えるところです。
外耳で音を集めても、
電気信号に変えるにはまだまだ音量不足です。
そこで活躍するのが耳小骨。
鼓膜にくっついているツチ骨、
内耳の蝸牛にくっついているアブミ骨、
ツチ骨とアブミ骨の間をつなぐキヌタ骨が、耳小骨です。
本当に小さな耳小骨たちですが、
彼らのおかげで音が増幅されます。
鼓膜で受け取った音を1としたとき、
耳小骨たちが働いた後の蝸牛が受け取る音は約22。
エレキギターのアンプのような、
素晴らしい増幅効果です。
蝸牛というカタツムリのような形をしたところが、
音の振動を電気信号に変換します。
音の信号を中枢に運んでくれるのは第8脳神経の聴神経です。
実は、第8脳神経にはもう1つの名前と役割があります。
平衡感覚(平衡覚)を伝える前庭神経です。
聴覚と平衡覚、両方をまとめた
「第8脳神経(内耳神経)」と呼ぶこともありますね。
平衡覚も、内耳で傾きを電気信号にします。
ここで働くのは3つの円が重なったような三半規管。
円の根本の部分には筆先のようなものが
入った袋(~嚢)があります。
袋の中にはリンパ液が入っていて、
感覚毛という筆先がどのぐらい、
どちらに揺れたのかを電気信号化するのです。
3つの円は縦、横、斜めの3次元に対応していますよ。
この平衡覚と視覚の情報がずれたものが
「(乗り物)酔い」です。
視覚情報は「停止!」しているのに、
傾き情報は「まだ動いてるよ~」と中枢に伝えられ…
判断に困った結果が、あの気持ち悪い「酔い」状態になります。
味覚についてのおはなしに移ります。
味覚を感じ取るところは舌の味蕾(みらい)。
ここで感じ取る情報が電気信号に変えられて、中枢に届きます。
ここで注意。
味覚情報を伝える脳神経は1本ではありません!
舌の前2/3は第7脳神経(顔面神経)、
舌の後ろ1/3は第9脳神経(舌咽神経)が味覚を伝える神経。
しかも「舌ざわり」は第5脳神経(三叉神経)が伝達担当。
小さいところなのに、3本も脳神経を使っているのですね。
…本当は舌の運動を担当する
第12脳神経(舌下神経)もあるから、4本ですが。
舌ざわりが別区分…?
「味覚」って、何を感じ取ることなの?
それは次回のおはなしですね。
味覚担当の味蕾についても、次回もう少し説明しますよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220923更新)