6 筋骨格系のおはなし(2)
筋肉が収縮…「動く」ためにはATPが必要。
前回のミオシンタンパクの首の動きのもと…でしたね。
ATPをどうやって取り出すかは、
筋肉の色によって違いますよ。
筋肉は赤い筋肉と白い筋肉に分けられます。
魚には赤身と白身がありますね。
厳密には違いはありますが、
とりあえずはそのイメージでオーケーです。
赤身の「赤」はミオグロビンの赤。
ミオグロビンは、
赤血球色素のヘモグロビンに似たもの。
似ている以上、
酸素と適度にゆるーくくっつくことができます。
つまり「うまく酸素をためておくことができる」わけです。
かたや白身は…ミオグロビンがあまり多くありません。
こちらは「酸素はためておけない」サインですね。
と、いうことは。
筋肉が収縮のためにATPを取り出そうとしたら、
赤筋では酸素を不自由なく使えるけど、
白筋ではあまり酸素は使えそうにないな…ということになります。
ここで「細胞のATPの取り出し方」を思い出してみましょう。
生物や生化学でおなじみ
「グルコース1個から、何個のATPを取り出せますか」です。
…酸素があれば36ATPで、酸素がないと2ATPだったよね…
数と一緒に、どこで酸素が必要になるかも復習しましょう。
解糖系では酸素がいらないけど、2ATPどまり。
TCAサイクル(クエン酸回路)ではミトコンドリアの中に入るので
酸素が必要になってきました。
呼吸鎖(電子伝達系)もミトコンドリアの中の話ですから、
やっぱり酸素が必要でしたね。
ここに筋肉の色を組み合わせますよ。
白筋はあまり酸素が期待できない…でも収縮必要がある。
そんなときは解糖系からATPを手に入れます。
でも(グルコース1個から)2個しかできないので、
収縮可能時間は少なそうです。
赤筋は酸素をどんどん使ってよさそうです。
ミトコンドリアを使う
TCAサイクル(クエン酸回路)や
呼吸鎖(電子伝達系)も問題ありません。
ATPは(グルコース1個から)36個できますから、
収縮(運動)は複数回…長時間持続できそうですよ。
これらが「白筋は瞬発性、赤筋は持続性」の理由ですね。
魚の筋肉でおはなししましたが、ヒトの筋肉も同じこと。
ミトコンドリアとミオグロビンがたくさんいる赤筋と、
ミオグロビンが少ないから
ミトコンドリアもあまりない白筋があります。
ヒト体内の赤筋と白筋の割合は、約半分ずつ。
これがヒトの生活に適した瞬発力と持続力割合なのでしょう。
次回は筋肉の色以外の分類のおはなしです。
【今回の内容が関係するところ】(以下20221011更新)