7 生殖器系のおはなし(9)
今までの総復習!
発生概論のおはなしを始めましょう。
…?
発生って、あのカエルが卵からオタマジャクシになるあれ?
最初はウニやカエルで発生を勉強する人が多そうですね。
ここでは「ヒト」の発生概論です。
…とはいえ、途中まではほぼ同じ経緯ですよ。
おはなしを始まる前に、思い出しておきましょう。
受精卵は、
生殖細胞の精子と卵子からできた新しい生命体です。
たった1つの細胞から、ヒトも始まります。
その核の中にあるDNA情報をもとに、
細胞は分裂し、分化し、約10か月を経て生まれてきます。
多細胞生物ゆえの役割分担の数々を、
「呼吸器系」、「循環器系」、「消化器系」、
「脳神経系・内分泌系」、「筋骨格系」と勉強してきました。
…どこが欠けても、ヒトとして生きていけません。
1つの細胞から生まれ出るまでの約10か月を、
これからダイジェストでお届けしますよ。
排卵はLHサージのショック…
前回おはなししたところが受精の前提。
もちろん、精子が女性体内に入らないと
受精は起こらないのが原則形態です。
体外受精については「例外」形態ですね。
精子の生存可能時間は、射精後3~30時間。
その間に排卵から24時間以内の
卵子に到達しないといけないのです。
…卵管を転がる卵子のところまで
到達できる精子は約500個ほど。
そのうちの1つの精子が透明帯を抜けると、受精です。
受精後、透明帯が硬いシャッターになり
何も中には入れなくなります。
すぐに精子と卵子のDNAが1つになり…
無事、新しいDNA情報の出来上がり。
名実ともに、新しい生命のスタートになります。
そして始まるのが細胞分裂。
細胞分裂ということは…
DNA量を2倍にする「フルセットコピー:複製」ですね。
DNAを2倍にできないと細胞分裂できないから、
「ビタミンB12と葉酸が欠けたら大変!」でした。
これらは卵子の卵黄に貯めてあったもの。
貯めてあったものを使いつつ、
どんどん細胞は分裂していきます。
ある程度まで増えると、さっそく役割分担が始まります。
「身体になる部分」と「着床するための部分」です。
「着床に準備が必要?」と思うかもしれません。
着床は、受精卵にとって母体から栄養を受け取るための手段。
母体から栄養を受け取ることができないと、
養分切れで細胞分裂が止まり
「ヒト」になることができません。
黄体ホルモンのおかげで
子宮内膜自体がスポンジのようになり、
受精卵を受け止める準備万端になっているとはいえ…。
やはり、受精卵側でも
子宮内膜に潜り込む準備をしておかないといけないのです。
次回は着床・胎盤形成開始からおはなししますね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20221025更新)