12 血液と免疫のおはなし(1)
今回からは血液と免疫のおはなしです。
まずは、体の中を流れる赤い液体「血液」のおはなし。
「血液」を見たことない人はいませんよね?
すりむいたり切ったりしたときに出る、
あの赤い液体です。
血液は形のある「血球」と、
形のない「血漿」からできています。
血球に含まれるのが赤血球、白血球、血小板。
酸素を運ぶ赤血球に、免疫担当の白血球、
止血の血小板という役割です。
形のない血漿に含まれるものは水、ミネラル、糖など。
細胞外に多いミネラルとして、
ナトリウムイオンとカルシウムイオンを
思い出してくれましたか?
この血球と血漿、
じつは液体の血漿成分のほうが多いんです。
約40~45%が血球で、残り約55~60%が血漿。
「人体内の水分約6割」同様、
意外と聞かれることが多い数字です。
少なくとも、
液体成分の血漿のほうが多いことは覚えておきましょう!
さて、先程血球の3種類をご紹介しました。
血球は、すべて同じ細胞が出発点。
それが「造血幹細胞」です。
「造血」なので、血を造(つく)る。
「幹細胞」なので、
何でもなれる細胞という意味です。
まとめると、
血球にならなんにでもなれる細胞…ですね。
赤血球になるルートと血小板になるルートは
分かりやすいのですが…。
白血球になるルートは、2つあります。
「リンパ球」になるルートと、
「異物を食べる白血球」になるルートです。
ここについての説明は、白血球のところでしますからね。
血球の始まりは赤血球からいきましょう。
赤血球は酸素を運ぶ役割があります。
ある程度は数が必要になりますから、
「赤血球数」は聞かれる機会が多くなります。
男性では血液1㎕中に約500万個、
女性では約450万個あります。
これより明らかに少なかったら、
全身の細胞に運ばれる酸素が不足して、
貧血になってしまいます。
じゃあ、赤血球の数さえあればいいのか…というと、
そうでもありません。
「働ける赤血球」の数が、1㎕中に450~500万個必要です。
赤血球が働けなくなる一例が、「溶血」です。
これは、赤血球の細胞膜が破れてしまうこと。
当然、こんなことが起こったら
酸素を運ぶ役目なんて果たせません。
赤血球の見た目は、平べったい楕円形。
酸素を運ぶことに特化しすぎたせいで、
その中には核もミトコンドリアもありません。
核がないということは、細胞分裂できません。
足りなくなったら、造血幹細胞から作り直しです。
ミトコンドリアがないということは、
解糖系からしかATPを取り出せません。
脂質ではなく、血液中のグルコースが
赤血球にとっていかに大事か…
今の皆さんなら分かるはずですよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220625更新)