13 酸とアルカリのおはなし(1)
今回からは、酸とアルカリについてのおはなしです。
前回の最後にも書いたように、
看護の世界では
化学の時間のような難しい計算はありません。
覚えなくちゃいけない単語や数字はありますが、
ちゃんと基本を理解すれば難しくありませんよ!
まずは覚えること。
「血液のpHは、7.35~7.45」
これ、今すぐ覚えてしまいましょう。
「7.40±0.05」でもいいですからね。
この狭い範囲が、
細胞が十分に活動できる酸性アルカリ性度合いです。
ではもう少し説明。
まずpHというのは、
「酸性度合い、アルカリ性度合い」を表すもの。
pH7がど真ん中で、「中性」です。
これより数字が少なくなると「酸性」、
これより数字が大きくなると「アルカリ性」です。
だから、先程覚えてもらったヒトの血液は
pH7より少し数字が大きいので「弱アルカリ性」ですね。
それ以外に看護で出てくるpHは、
胃酸の酸性(pH1~2)、
膵液・腸液のアルカリ性(pH8~9)。
あとは皮膚の弱酸性(pH5.5~6)が分かれば十分です。
胃酸環境下で元気なペプシンと、
膵液・腸液環境下で元気なトリプシン。
どちらもタンパク質の消化酵素ですが、
至適pHが違う代表例です。
大事なところなので、
忘れていた人はしっかり覚えましょうね。
「5 タンパク質」の酵素(至適環境)のおはなしです。
皮膚が弱酸性になる理由は、
皮膚の表面に分泌される
油分(皮脂)が酸化して酸性を示すから。
こうしておかないと、
皮膚でせっかく体内侵入をブロックした細菌等が、
皮膚の上で増えてしまいます。
ちなみに、体をセッケンで洗うとさっぱりしますが
皮膚表面が一気にアルカリ性になります。
ここから皮脂の酸化でいつもの弱酸性に戻すのですが、
途中で必ず細菌増殖にいい環境の「中性」を経由してしまいます。
ちょっと困りますね。
そこで洗浄力を犠牲に
中性経由を回避したのが「弱酸性セッケン」。
表面をアルカリ性にしないので、
「中性」を経由することもないのです。
いかんせん洗い上がりがすっきりしないのと、
お値段お高めなのが弱酸性セッケンの泣き所ですね。
ここからは血液のpHだけに注目しておはなしを進めますよ。
血液が酸性(アシッド)に傾くことを「アシドーシス」、
アルカリ性に傾くことを「アルカローシス」といいます。
これも覚えてほしい言葉です。
そしてあまりにも血液のpHが正常範囲からずれると、
ヒトは死んでしまいます。
それは困るので、
次回はpHの守り方についてのおはなしです。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220716更新)