14 尿と腎臓のおはなし(5)
今回は人工透析の基本についておはなしますね。
詳しくは、ネットや本で理解を深めてみてください。
腎臓に病気がある方向けのパンフレットも各種ありますよ。
まず、人工透析は「血液から尿を作る働き」を
代わりに機械にしてもらうこと。
腎臓の働きが悪くなってしまったので、
老廃物(不要物)を
体の外に出すために必要になります。
本当はここで浸透圧の話が必要になりますが…
できる限り簡単に説明しますよ。
血液を、チューブで体の外に出して、
「半透膜」の管を通します。
半透膜というのは、
一定の物だけを通し、それ以外のものを通さない膜。
理科の時間に、
セロファンで実験をした人がいるかもしれませんね。
ここでは、水と老廃物(不要物)を通して、
赤血球やアミノ酸を通さない膜をイメージしてください。
老廃物(不要物)としては、
尿素をイメージしておきましょう。
半透膜の管を通っていくうちに、
水と老廃物は管の外側に出ていきます。
もちろん、そのままでは
血液から水分が抜けすぎてしまうので、
ちゃんとpHを調節してから
(血管に入れるための)管に戻します。
あとは中の液体を血管(体の中)に戻せばおしまい。
これが、人工透析の原理です。
簡単にできるように説明してきましたが…
腎臓のようにはうまくいきません。
機械に通すことのできる血液量が限られるため、
時間がかかります。
1回あたり数時間、
機械のそばにじっとしていないといけません。
しかも老廃物(不要物)は
細胞が活動している以上増え続けます。
結果、2~3日おきに病院に行って
人工透析を受けなければなりません。
病院に通う時間も含めるとすごい負担ですよね。
しかもその時間働くことができない以上、
金銭負担もばかになりません。
さらに、透析を受けていない時間も
「シャント」管理に気を遣わなければなりません。
「シャント」というのは、
手術をして腕の動脈と静脈をつないだもの。
こうすることでそこに流れる血液量を増やして、
たくさんの血液を機械に通せるようにするのです。
「シャント」が使えなくならないよう、
日常生活にもいろいろな制限がかかります。
シャントの腕を下にして寝ない、
シャントの腕で荷物を持たない…。
腎臓が悪くなってしまうと、
老廃物(不要物)を体の外に出すだけでも一苦労なのです。
シャントを使わない「腹膜透析」もあります。
でもすべての人が選べる手段ではありません。
しかも腹膜透析も数年でシャントを必要とする
人工透析が必要になってしまいます。
残念ながら、各種負担の根本的解決にはなりませんね。
こんなに苦労しても、
前回まとめた腎臓のほかの機能の代わりはできません。
だから、早く腎臓の異常には気付いてほしいのです。
次回は、尿に出たら危ないものについておはなししますよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220727更新)