7 脂質のおはなし(2)
脂質の分類が終わったので、
ここから各種脂質をちょっと詳しく見ていきますよ。
全ての脂質の基本は単純脂質の脂肪酸。
脂肪酸の構造は前回おはなししましたね。
ベルトが水嫌い、金具が水好きです。
ベルトが水嫌いの理由は、
水になじまない炭素と水素の鎖が長いせい…前回の復習です。
この炭素と水素の鎖、よく見ると手のつなぎ方が違います。
炭素と炭素が1本ずつ手を出してつないでいるものを「結合」、
2本ずつ手を出してつないでいるものを「二重結合」と呼びます。
この二重結合がある脂肪酸が「不飽和脂肪酸」。
炭素(C)が水素(H)でいっぱい(飽和)になっていないから
「不飽和」脂肪酸ですね。
炭素が水素でいっぱいになったら、「飽和」脂肪酸ですよ。
でも「不飽和」だけじゃ
どこで「2本の手で手つなぎ」をしているか分かりませんよね。
そこで「ω(オメガ)- 」や「n- 」の後ろに数字を入れて、
何番目の炭素で「2本の手つなぎ」がされているかを示しています。
「ω-3」なら3番目の炭素で、
「ω-6」なら6番目の炭素で2本の手つなぎ…という意味ですね。
これでみなさんは「ω-6不飽和脂肪酸」という文字を見ても、
何を言っているのか分かるようになりましたよ!
脂肪酸には、体の中で作ることができないものがあります。
必須脂肪酸ですね。
これは3つしかありません。
ここで覚えてしまうことにしましょう。
リノール酸、α-リノレン酸、アラキドン酸です。
特に注意が必要なのがα-リノレン酸。
「α-」ではないリノレン酸があり、
そちらは必須脂肪酸ではありません。
なお、本によってはアラキドン酸は必須脂肪酸に含まれません。
それはアラキドン酸がリノール酸から作られるから。
とはいえ、作られる量が足りなければ
やっぱり食べ物から取るしかありませんね。
ここではアラキドン酸を含む3つを
「必須脂肪酸」にしておきますよ。
先程の二重結合の示し方の例に従えば、
α-リノレン酸はω-3脂肪酸。
ここからDHA(ドコサヘキサエン酸)や
EPA(エイコサペンタエン酸)が作られます。
リノール酸とアラキドン酸はω-6脂肪酸です。
一時期「DHAで頭が良くなる!」と話題になりました。
DHAは確かに脳に多く存在する不飽和脂肪酸です。
でも、不飽和脂肪酸の主な仕事は「細胞膜の成分になること」。
細胞膜が適度な柔らかさを保つために、
不飽和脂肪酸が細胞膜に入り込んでいるのです。
その結果「適度な知的刺激を受けた」神経細胞は
細胞膜が適度な柔らかさを維持してくれるおかげで
周囲に腕を伸ばしやすくなり、
情報伝達が早くなると考えられます。
…もう気付きましたよね。
前提には「適度な知的刺激」が必要です。
勉強せずに頭が良くなる…なんて虫の良い話はありませんよ!
【今回の内容が関係するところ】(以下20220413更新)