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3 ちょっと寄り道:サイトカインストーム(4)

でも、ここでもうちょっとだけ詳しく見てみましょう。

涙や鼻水などを(作って)出すためには、

水分がたくさん必要です。

細胞の周りには組織液がありますが、

その水分を使ってしまったら

細胞内外のぎゅうぎゅうすかすか(浸透圧)を維持できません。

ここは水分量を調節しやすい

血液(の中の水分)を使った方が良さそうです。

このため、ヒスタミンは毛細血管を広げて(毛細血管拡張)、

たくさん血液が流れやすいように働きかけます。

 

…この働きが、

気道(特に気管)で起こったらどうなりますか?

先程確認した、サイトカインストームと同じことになりますね。

これがアナフィラキシーショックで最も怖い

「気道閉塞による死の危険」です。

 

アナフィラキシーショックの原因は、

ハチ毒と食物アレルギーが多いですね。

そしてアナフィラキシーショックと分かったら、

すぐにアドレナリン注射!

アドレナリンで末梢の血管を収縮させて、

少なくとも生命維持に必要なところ

(中枢部:脳や心臓をイメージ)に

十分な血液が戻ってくるようにする必要があります。

 

また、アナフィラキシーショックには

「ショック」の言葉が含まれています。

ショックについても確認しておきましょう。

 

ショックは全身の細胞に十分な血液が届かなくなってしまった状態。

血液が届かないということは、

グルコースも酸素もやってこないということ。

細胞は十分なATPを作ることができず、本来の働きを果たせません。

脳や心臓の細胞が働けないということは、

ヒトが死んでしまうということでもありますよ。

 

そんなショックの原因は大きく4つに分けられます。

循環血液量減少性、心原性、閉塞性、血液分布異常性です。

単に言葉として覚えるのではなく、

イメージをつかみながら理解するのがコツです。

出血してしまい、流れる血液が足りないのが循環血液減少性。

心臓がうまく動かないせいなのが心原性。

血管が詰まったせいなのが閉塞性。

そして特定のところだけに血液が集まったせいで、

他のところが血液不足になってしまったのが血液分布異常性です。

先程確認したアナフィラキシーショックや、

敗血症等のサイトカインストームは血液分布異常性ですね。

 

ショックの原因が分かれば一番なのですが。

呼吸不全(やそれにつながる声のかすれ、喉のかゆみ)があったら、

人を呼びつつ気道確保とアドレナリン注射の準備。

呼吸不全等がないなら、

横になってもらって(仰臥位)バイタルチェックです。

 

「全身細胞に血液が届いてないから、ショックなんだ!」

これが分かれば、

循環状態の確認と補液の必要性も分かりますよね。