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6 ウイルスの変異(1)

6、ウイルスの変異

 

「ウイルスの変異」

それ自体が看護師国家試験に出ることはないと思います。

どちらかといえば

「なんで予防注射打ったのにインフルエンザに?!」に関係する、

微生物学と薬理学の(日常実践レベルでの)おはなしになります。

 

インフルエンザの予防接種は

任意に(自分でお金を払って)行います。

お金を出して、痛い思いをして、

それなのにインフルエンザにかかってしまった人はいませんか?

原因は大きく分けて2つ。

流行する型の予想が外れたか、

インフルエンザウイルスが変異してしまったからです。

 

普段私たちは

「インフルエンザウイルス」の一言で済ませていますが、

オルトミクソウイルス科に属するインフルエンザウイルスには、

A、B、Cの3つのタイプ(型)があります。

それぞれ外側に出ているタンパク質の構造が違うため、

タイプ(型)が違うと抗体は効きません。

だから流行予想が外れて

違うタイプ(型)の予防接種をして一次応答を終わらせても、

インフルエンザにかかってしまうことになります。

しかもワクチンによる抗体は

数か月(約半年)でなくなってしまうため、

毎年受けなおす必要があるのです。

 

「だったら、

せめて3つの型全部をいっぺんに摂取しちゃえばいいのに!」

なんて言ってはいけませんよ。

タイプ(型)の中にも、さらに多くのサブタイプ(亜型)があります。

特にA型インフルエンザウイルスは、

抗原として働く部分のタンパク質に亜型が多く、

それら全部入りの予防接種をするなど現実的とは言えません。

なので、流行の規模や感染したときの影響が大きいものを

予想・選択して予防接種せざるを得ないのです。

その予想が外れると…残念ながら

「予防接種したけどインフルエンザ!」になってしまいます。

 

ここで注意。

インフルエンザの型が当たっても

「インフルエンザに感染」することはあります。

 

予防接種(ワクチン)によって二次応答状態にあっても、

侵入してくるウイルスが多かったら、

インフルエンザは発病します。

ただし、全く準備していなかったときと比べて

症状は、少し軽いはず。

「熱は出たけど、意識を失うような高熱ではなかった」

「せきは出るけど、肩で呼吸するほどではない」

これらは予防接種のおかげで、

ちゃんと二次応答ができている成果です。

 

ついつい「予防接種をすれば100%病気を防げる」と

誤解してしまいがちですが。

「予防接種は一次応答をクリアーさせるもの

(二次応答状態にするもの)」という意識を忘れないでくださいね。