6 総論:個人(?)レベルの侵入を減らす方法(4)
「中程度の消毒薬」の続きです。
ポピドンヨード(イソジン)は、ヒトに使える最強の消毒薬。
多少なら芽胞にも効き、皮膚や粘膜にも使えるので
手術前の創部消毒等には第一選択です。
でも金属や便には使えませんし、
非金属でも床等の環境には色がついてしまうので適していませんね。
だから「滅菌できるものは滅菌!
ヒトにはポピドンヨード!それ以外には次亜塩素酸ナトリウム!」が、
対微生物の最強組み合わせになります。
でも…ポピドンヨードを使うと、ヒトにも色が付きます。
手術のように「特別な状況」なら、
そこに色を落とす手間を加えてでも強い消毒薬を使う必要がありますが、
普段使うにはどうしても不便です。
それにヨード(ヨウ素)にアレルギーを示してしまう人
(ヨード過敏症の人)には使えませんね。
そんなときには、
エチルアルコール(エタノール)や
イソプロピルアルコール(イソプロパノール)です。
色は付きませんし、皮膚(手指)消毒にはもってこいです。
でも、芽胞には全く効きません。
真菌とエンベロープのないウイルスにも、効果は不十分です。
しかもエチルアルコール(消毒用エタノール)は、
微生物に一番効く濃度が100%ではなく70~80%です。
「注射や採血時の消毒用エタノール綿」は、
こまめに調整・作成しないと微生物に一番効く濃度から外れてしまいます。
あとは「ふたを開けっぱなしにしない」「作りすぎない」…
これらについては基礎看護等で勉強するおはなしですからね。
小中学校でケガをしたときにつけたことがあるかもしれない
「ヨードチンキ」は、ヨードフォルとエチルアルコールを混ぜたもの。
ヨードフォルはヨウ素をうまく溶かせる溶剤に溶かしたものです。
ポピドンヨードの親戚みたいなものですね。
フェノールはクレゾールが代表。
「クレゾール石けん」の形で耳にしたことがあるかもしれません。
匂いが強いので、あまり使いやすい消毒薬ではありませんね。
エンベロープなしのウイルスには効かない(当然、芽胞にも効かない)ことも
使われにくい一因です。
便の処理には使われることがあるので、
一応「中程度の消毒薬」の1つとして頭に入れておいてくださいね。
水害被害の後、屋外を消毒するには有効手段ですよ。