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10 脳神経系のおはなし(3)変性障害と異常の結果(6)

2 「変!」の結果

以上、様々な原因で中枢の神経細胞が

「変!」になることを確認してきました。

ここからは結果に注目してみましょう。

ここでは身近な頭痛をはじめ、

頚椎症・腰椎症、てんかん、

ナルコレプシーについておはなししますね。

 

(1)頭痛

頭痛はとても広い概念。

脳自体に「変!」がある二次的頭痛と、

細胞自体には変なところはない一時的頭痛に分けられます。

「頭蓋内器質的疾患によるもの」とされる

二次的頭痛を見逃さないでくださいね。

例えば、頭蓋内圧を上げる(亢進する)合併症が疑われるなら、

頭痛を見逃すと脳ヘルニアを起こして、

生命の危険につながります。

一次的頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあります。

片頭痛は前頭側頭部に多く、日常動作で増悪します。

前兆として視覚的変化(閃輝暗点)に代表される

感覚的変化が出ることも。

頭痛中心に悪心嘔吐や、光・音過敏が出る人もいますね。

月に15日以上、3か月以上も続く頭痛は「慢性片頭痛」です。

頭痛一般に言えることですが、

「いつもと違う」「突然の」頭痛や、

「回数と痛さが増えてきた」頭痛を無視してはいけません。

頚部硬直や髄膜刺激症状の一緒の頭痛も、すぐに病院へ!

 

軽度片頭痛には、NSAIDs等の薬物療法が多いですね。

あまりに頻繁なら、

カルシウム拮抗薬で予防することもあります。

これはカルシウムイオンの通る

カルシウムチャネルをふさいで、

血管の平滑筋細胞収縮を抑制するお薬です。

緊張型頭痛にも共通しますが、

頭痛の誘因と不安・緊張といった

ストレスを取り除くことが一番です。

薬に頼り切ってはいけません。

 

群発頭痛は、

片頭痛と同様血管の機能異常と考えられていますが、

毎日ほぼ同時刻に15分から2時間ほど頭痛発作が起こります。

発作が出る「群発期」と発作が出ない「寛解期」がありますよ。

片頭痛とは逆に男性の方に発症率が高く、

20代や30代に初回発症が見られることがほとんどです。

発作中は目の周囲が痛く、目の充血もみられます。

頭の痛みが激しいため、

自ら頭を壁に叩きつけることも多々あります。

トリプタン製剤や消炎鎮痛剤の薬物療法や酸素療法だけでなく、

局所麻酔として神経ブロックをする方法もありますね。

トリプタン製剤は、

血管収縮に働く神経伝達物質のセロトニンに働く薬。

血管をコントロールする交感神経系を麻酔するのが、

ここでの神経ブロックです。

「神経ブロック」自体は、

頭痛だけでなく各所の鎮痛で用いられますからね。