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10 脳神経系のおはなし(2)感染・腫瘍・脱髄性疾患(1)

1 感染

感染のおはなしに入りましょう。

感染症にいろいろな原因があることは、

今までおはなししてきた通り。

中枢に影響の出る個別の病原体のうち、

特徴のあるものをいくつか紹介しますね。

 

(1)梅毒トレポネーマ

原虫代表が神経梅毒の梅毒トレポネーマ。

中枢神経系に入り込み、

体内侵入から早くて数年、遅いと20年以上たって発症します。

目の反射のうち対光反射だけが失われて、

輻輳反射が残る(アーガイルロバートソン瞳孔)「無症候性」。

髄膜炎や脳梗塞・脊髄梗塞を起こす「髄膜血管型」。

そして脊髄性の失調性歩行、下肢障害、膀胱直腸障害に加えて、

人格変化と精神機能低下を引き起こす「実質型」に分かれます。

精神機能低下は、

記憶力低下や妄想・幻覚・錯乱・易刺激性といった

精神症状につながり、認知症に至ります。

悪さをしているトレポネーマは、

今までの勉強通り薬で退治。

薬物治療開始24時間で多くのトレポネーマが死ぬため、

体がそれらに対処することで

頭痛・発熱が出ることは事前に説明しておきましょうね。

梅毒に限ったことではありませんが、

針刺し事故には注意ですよ!

 

(2)ウイルス

続いてウイルス。

「針刺し」が出たので、

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)から始めましょう。

ヒト免疫不全ウイルスそのものが

脳や脊髄に悪さをするわけではありません。

普段は悪さをしないのに、免疫不全が起こったせいで

脳症を引き起こすウイルス

(JCウイルス等)の活発化が問題です。

免疫不全状態が続くと、

AIDS脳症と呼ばれる認知症が生じます。

ヒト免疫不全ウイルスは性感染症(STD)のみならず、

胎児奇形のTOCRH(Oの「その他」)でも、

白血球の免疫機能理解や

針刺し事故のところでも出てきます。

早めに理解してしまうと各分野で楽ができますから、

頑張りましょうね。