4 体温のおはなし(1)血液・免疫(6)
ちょっぴり細かい補足になりますが。
慢性骨髄性白血病(C・ML)では、
おかしくなった細胞に染色体9番と22番の転座が起きた
「フィラデルフィア染色体」が出ます。
慢性リンパ性白血病(C・LL)は、
さらにT細胞性とB細胞性に分けられます。
B細胞性は原因不明で、治療方法にも確立したものがありません。
T細胞性は「ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)」が原因。
感染すると、
成人T細胞白血病や成人T細胞リンパ腫(ATL)になります。
なぜか高齢者の、南西日本出身者に多い傾向があります。
こちらは原因が分かり、
感染経路も(性行為・母乳等)判明していますので、
一定程度で予防可能です。
…残念ながら、
「キャリア状態からの発症予防」や「治療法」は確立していません。
「治療」の言葉が出てきたので、
白血病一般の治療等に関するおはなし。
目標は、白血病細胞の根絶です。
「完全寛解」というのは、
骨髄で白血病細胞が5%未満になることです。
正常造血幹細胞の移植、化学療法がとられることになります。
化学療法は複数の薬を使い、約3年の入退院を繰り返す長丁場。
使う薬の多くは、細胞分裂をDNAのレベルで邪魔するものです。
だから吐き気、嘔吐、脱毛、粘膜障害の4症状は
確実に出るとされています。
患者さんの心のケア、とても大事ですね。
体のケアに関しては、
特にどこの粘膜障害が出るか細胞分裂頻度からイメージできますか?
舌の味蕾、小腸上皮、赤血球がピンチでしたね。
消化器系の大事なところに直撃しています。
栄養状態も、しっかり確認する必要がありそうです。
もちろん白血病本来の状態を思い出せば、
出血予防と感染予防を忘れてはいけません。
食べものや歯ブラシ由来の出血に注意し、
便性も硬くなりすぎないようにしなくてはいけませんね。
日常行動の「つい目をこすった…」「鼻かんだ…」すら要注意です。
女性では、生理(月経)も危険要因になることもありますよ。
慢性の白血病では、インターフェロンが効く可能性があります。
また、慢性骨髄性白血病では
特徴的なフィラデルフィア染色体由来のタンパク質を
狙い撃ちする薬(イマチニブ)もありますよ。