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6 体温のおはなし(3)上部消化器系(+肝胆膵)(11)

周期性四肢性麻痺は、

筋肉とミネラルの関係性理解のためにも重要。

筋線維細胞の表面膜(形質膜)の電位変化が変になり

(細胞の活動電位が起きず)、

一次的に筋収縮ができなくなって

麻痺を生じてしまう病気です。

血液中のカリウムイオン濃度が低くて起こるものと、

それ以外(正常もしくは高カリウム血症)で

起こるものに分けられます。

低カリウム血症で起こるものは

先天性と後天性があります。

先天性の例は家族性低カリウム血性周期性四肢麻痺、

後天性の原因には甲状腺機能亢進症や甘草摂取、

カリウムイオン喪失性疾患等があります。

甘草はほとんどの漢方に含まれている成分。

カリウムイオン喪失性疾患には

腎臓疾患や消化管液喪失(下痢や嘔吐)、

低栄養状態やインシュリン等の

ホルモン分泌異常等が含まれます。

 

運動や炭水化物の大量摂取を誘因として、

下肢から麻痺が起こり、上に向かいます。

麻痺は夜間や早朝に起きやすく、

2~3日ほどで回復します。

カリウム製剤の経口内服治療になることが多いですね。

原因疾患をしっかり治療してください。

もちろん、誘因になる炭水化物の食べ過ぎはだめですよ。

 

正常もしくは高カリウム血症で起こるものの例としては、

先天性の

ナトリウムチャネルサブユニット遺伝子異常によるものがあります。

こちらのときには、疲労や寒冷刺激を避けてくださいね。

 

あっさりと

「カリウムイオンの濃度異常で筋肉に麻痺」としましたが。

ここで、心筋の収縮とイオンについて思い出してください。

脈拍・血圧1(心臓)のところですね。

「高カリウム血症は心停止の危険」でしたが、

カリウムイオンの影響を受けるのは、

心筋に限定したおはなしではありません。

筋肉細胞が電気刺激を受けて、

筋肉の膜電位がマイナスからプラスに変わり、

またマイナスに戻っていくのはどの筋肉でも同じ。

そして膜電位が変わるためには、

細胞内外のイオンの濃度差と

チャネルやポンプの働きが必要不可欠です。

そのときに出てきたナトリウムイオン、

カリウムイオン、カルシウムイオンの血中濃度

(正確には細胞内外濃度差)は、

筋肉が動くためにとても大事。

各種イオン濃度は高すぎも低すぎも問題。

次回は、ミネラルについて補足していきますね。