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6 体温のおはなし(3)上部消化器系(+肝胆膵)(6)

(2)がん

咽頭のがんは、

場所によって上・中・下に分かれています。

症状や発生原因の関係から「上咽頭がん」と

「中・下咽頭がん」に分けますよ。

 

上咽頭がんで一番多いのは悪性リンパ腫。

腫瘍が大きくなると上気道と耳管の狭窄が起こり、

早くから頚部リンパ節転移が起こることが特徴です。

上気道狭窄で、

鼻閉や鼻漏が起きて口呼吸やいびきが出てきます。

この腫瘍が出血しやすいもののため、

鼻出血や咽頭出血も見られますね。

鼻出血はじめ鼻症状については

呼吸のところでおはなししますよ。

 

耳管狭窄(や閉塞)は、滲出性の中耳炎を起こし、

耳閉感や伝音性難聴のもと。

こちらも末梢神経系のところでおはなしします。

外科的に切り取ることが困難場所にあることと、

放射線治療がよく効くため、主に放射線療法。

そこに化学療法も追加されますね。

放射線治療ではかなり放射野

(放射線を当てるところ)が広いため、

各種細胞障害が広範囲に出てきます。

口腔内粘膜は全てダメージを受けてしまうので、

痛みによる食事摂取障害、味覚障害、

唾液分泌障害等が出てきます。

食事摂取障害は嚥下性肺炎にもつながるものですから、

これまた注意ですね。

粘膜ダメージは一定程度までは不可避です。

だから、それ以上のダメージを受けないよう、

そしてできるだけ早く回復できるようにしましょう。

照射エリアの皮膚の保護、鎮痛剤の適切使用、

小さく切る等の食事の工夫と栄養管理、

含嗽等で口腔衛生…ですね。

 

中・下咽頭がんは扁平上皮がんが大部分を占めます。

アルコールやタバコの影響を受けやすく、

男性に多いですね。

咽頭の違和感、つかえ感から始まり、

開口障害、嚥下障害、嗄声(かすれ声)、

呼吸困難へとつながります。

頚部リンパ節へも転移しやすいですね。

 

主に、放射線療法と化学療法の併用になります。

外科的に切り取ることもありますが、

場所の関係上「声」が出なくなるかもしれません。

放射線療法の後は粘膜炎がひどく、

経口摂取は不可能になると思ってください。

栄養管理に、要注意ですね。

発声・構音・嚥下に対してはリハビリです。

予後が頭頚部の腫瘍の中では最悪で、

下咽頭がんでは5年生存率が

30~40%程度しかないことも覚えておきましょう。