8 下部消化器系・生殖器系のおはなし(3)生殖器系(9)
「尿失禁」には、いろいろな種類があります。
正常な排尿のためには「トイレまで尿をためる」、
「神経の命令に従って括約筋を緩める」、
「尿道を通して体外に出す」が原則形態でしたね。
命令がないのに膀胱出口と尿道括約筋(骨盤底筋群)が
腹圧に負けたのが「腹圧性尿失禁」。
変なタイミングで命令が出てしまうものが「切迫性尿失禁」。
トイレに行くまでの移動が間に合わない「機能性尿失禁」。
あとは、
これらの複合「複合性尿失禁」等の原因があります。
頻繁に尿意をもよおすことに注目した
「過活動膀胱」の視点から見れば、
神経因性過活動膀胱が「切迫性尿失禁」に対応し、
非神経因性過活動膀胱が
「腹圧性・機能性・複合性の尿失禁」に対応します。
尿失禁の原因が機能性なら、
トイレまでの移動距離改善、
着脱しやすい衣服等の工夫で改善されます。
腹圧性なら、
ひどくなる前に骨盤底筋訓練で進行防止と回復が望めます。
切迫性尿失禁なら、
少しずつ我慢できる時間を伸ばしていく膀胱訓練で、
トイレまで我慢できるようになれば
もう「尿失禁」ではありません。
神経性の排尿障害の1つに、
夜尿(おねしょ)もありますね。
小児では脳と膀胱の連携がうまく取れず。
膀胱から「もう限界!出して!」の信号が出ても、
眠りが浅くならずにトイレに起きられないことがあります。
5歳では、15~20%に見られ、
あとは次第に改善されていくはずです。
でも「連携未熟」以外の排尿障害があるなら、
それは早く治す必要がありますね。
尿道口が湿った状態に長時間あるせいで、
尿路感染につながることもあります。
過剰な叱責による過ストレス状態から
別の神経性排尿障害を引き起こす前に、
受診して、原因や対策を検討してください。
【あとがき】
以上、下部消化器系と生殖器系のおはなしでした。
「食べたものの残りかす」を
体の外に出すことの重要性、分かりましたね。
場所的にも機能的にも関係の深い
生殖器系のおはなしも一緒にしましたから、
「そこがおかしくなると、周りもおかしくなる!」ことも
理解できたはず。
性感染症(STD)の初期症状が、
男性では尿排出時に出ることも、もう大丈夫ですね。
【あとがき(体温関係10回分)】
「白血球・感染」、「内分泌系」、「上部消化器系」、
そして「下部消化器系(と生殖器系)」と続いてきた
熱に反映されるおはなし、一段落。
熱を測る意味は、
これらの異常をいち早く知るためにあるのです。
実はまだ「体温中枢」のおはなしが残っています。
でも、そこは次回から始まる「呼吸」のところで、
「中枢のおはなし」としてまとめてしまいましょう。
次回からは、「呼吸」に反映される異常について。
呼吸に必要なものを確認してから、
そこがおかしくなるとどうなるかを確認していきましょう。