8 下部消化器系・生殖器系のおはなし(1)腎臓と尿(4)
腎性は急性腎不全の約35%。
「腎血管障害」、「糸球体障害」、「急性間質性腎炎」、
「急性尿細管壊死」と分けることができます。
腎血管障害は、
腎臓に入る(又は出ていく)血管がおかしくなったもの。
これらが閉塞したら、腎臓は役割を果たせませんね。
糸球体障害は、
主に糸球体のざるの目が詰まってしまったもの。
播種性血管内凝固症候群(DIC)、
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、
溶血性尿毒症症候群(HUS)等で起こります。
播種性血管内凝固症候群と血栓性血小板減少性紫斑病は、
「体温1(血液と免疫)」でおはなししてありますね。
溶血性尿毒症症候群は、
下痢の原因になる腸管出血性大腸菌の出す毒素で、
赤血球の膜が破裂してしまうもの。
急性間質性腎炎は、主に薬のアレルギーで起こりますよ。
一番いろいろな原因がつまっているのが、
急性尿細管壊死です。
狭義の、急性腎不全でもあります。
手術等で起こる虚血性急性尿細管壊死と、
腎臓の細胞に毒性を示すものによる
腎毒性急性尿細管壊死に分けられます。
腎毒性を示すものには内因性と外因性があります。
外因性の例としては抗がん剤や抗生物質のような薬や、
カドミウム等の重金属。
カドミウムは三大公害病の1つ、
イタイイタイ病の原因ですね。
腎臓がおかしくなるとなぜイタイイタイ病の骨折が起きるのか…
これについてはビタミンDと副甲状腺との関係を要復習です。
内因性の例としてはヘモグロビン、ミオグロビン、
ベンス・ジョーンズタンパク。
ベンス・ジョーンズタンパクは
多発性骨髄腫でのみ出る特殊タンパク質ですが。
ヘモグロビンやミオグロビンも、
一度糸球体を抜けて尿細管に出てしまうと
自分に悪さ(毒性)をしてしまいます。
だから、ちゃんと肝臓で分解する必要があるのですね。
腎後性はごくわずか。
尿が体の外に出る途中の狭窄によって、
尿が出しにくくなります。
出るべきものが出ないせいで、
次の尿を作れない困った状態ですね。
急性腎不全の原因を
腎前、腎、腎後と分けました。
1日尿量が400㎖を切る乏尿、
100㎖を切る無尿は、腎前と腎後で出やすい症状です。