8 下部消化器系・生殖器系のおはなし(1)腎臓と尿(3)

(3)急性腎不全

ネフローゼ症候群の合併症の1つが「急性腎不全」。

腎臓の排泄機能が急激に悪化し、

高窒素(N)血症が急速進行した状態です。

腎不全のせいで尿が出にくくなるため、

体液貯留から四肢末端浮腫、

胸水、腹水、うっ血性心不全が起きてきます。

 

うっ血性心不全のサインは呼吸困難、起坐呼吸、喀血。

ここについては循環のところでおはなしした通り。

 

他にも悪心・嘔吐・食思不振等の消化器系症状や、

傾眠傾向、見当識障害・意識障害、けいれん、

昏睡といった中枢神経症状、

高窒素(N)血症、高カリウム(K)血症、

代謝性アシドーシスも出てきます。

 

腎不全は血液中ミネラル調節がうまくできずに

代謝性アシドーシスになります。

主に水素イオン排出と重炭酸イオン再吸収が

うまくできないせいですね。

窒素(N)が血液中に増える理由は、

尿素窒素(BUN)とクレアチニンのせい。

クレアチニンは筋肉中タンパク質貯蔵スタイルの

クレアチンの代謝産物です。

クレアチニンをうまく尿に捨てているのかを見るのが、

クレアチニンクリアランス。

腎臓の糸球体の働きを見る検査です。

高カリウム血症はテント状T波を引き起こし、

放置は生命の危険ですね。

とにもかくにも、原因を取り除きつつ体液管理です。

危険な状態なら人工透析を行うことになります。

 

ただし「原因」と一言で片づけるには、

余りにも対象が広すぎます。

「腎臓の前に原因(腎前性)」、

「腎臓に原因(腎性)」、

「腎臓の後ろに原因(腎後性)」に分けましょう。

肝臓の黄疸原因を

溶血性、肝細胞性、閉塞性に分けるのと同じですね。

 

腎前性は循環量低下が主原因。

これが急性腎不全の約6割を占めます。

原則として可逆性(元に戻る)ですが…

対処が遅れると大変です。

循環量低下は「体液減少」、「分布異常」、

「心機能低下」、「末梢血管拡張」で起こりますね。

そう、ショックのはなしそのものです。

ちゃんと循環器系の

「ショック」のところを復習しておきましょう。