8 下部消化器系・生殖器系のおはなし(1)腎臓と尿(8)
2 尿路の異常
尿路に通過障害がありますよ、というのが「水腎症」。
腎臓に不要な水(ここでは尿)がたまっている状態です。
原因は多岐にわたります。
先天性のものや、腫瘍、結石。
泌尿器系以外の腫瘍や手術、炎症等でも起こります。
原因がいろいろなので、症状もいろいろ。
急性水腎症なら、疝痛発作が出ます。
慢性水腎症では症状が出ないうちに、
気付いたら慢性腎不全を起こしていることも。
緊急時には尿管にステント
(メッシュ(金属の網)を入れて広げる)を留置したり、
腎婁(体の外側に尿を出すための穴)を造ることになります。
緊急状態を脱したら、体内水分量をしっかり確認しましょう。
腎婁を作っても、入浴やシャワー浴は可能ですよ。
入浴後に挿入部消毒とガーゼ交換をすればいいのです。
(1)尿路結石
水腎症の原因の1つ「結石」というのは、
尿路結石症のこと。
膀胱に入る前の腎臓や輸尿管でできると
「上部尿路結石症」。
そこより下の膀胱や尿道なら「下部尿路結石症」。
上部の方に石はできやすいですね。
30~50代の男性に多く、男性の11人に1人は
「一度は尿路結石になる」ぐらいの頻度で起こります。
石の主成分は主にシュウ酸カルシウム。
石を作ることを促進する因子
(薬、感染症、原発性副甲状腺機能亢進症等)はありますが、
環境因子の方が影響大。
動物性タンパク質・脂質の多い食事は、
家族歴に勝るとも劣らない環境因子です。
症状は、頻尿・残尿感、排尿時の
不快感や痛みから始まります。
血尿が出るころになると、
ある日突然(特に夜間や早朝に)痛みが!
石が尿路をふさぎ、
その上流の尿路が引き伸ばされて痛む疝痛ですね。
疝痛というのは、
管のように中のつまっていない臓器の壁にあたる
平滑筋の動きに合わせた、間欠性の内臓痛です。
特に腰背部の肋骨脊椎角部
(背中側肋骨の、一番下にあたる部分)の痛みは
「腎疝痛」と呼ばれます。
疝痛の場所は側腹部から下腹部、鼠径部へと動いていきます。
痛む場所は、尿が流れていく場所ですね。
途中でどこかに詰まってしまう(はまりこむ:嵌頓)と、
無尿や尿閉が起こります。
腎後性腎不全の危険だけではなく、
尿の流れが停滞することで尿路感染の危険が出てきます。