9 呼吸器系のおはなし(3)骨の異常(1)
「呼吸」に反映されるおはなしの続き。
胸郭の外側になる肋骨と胸骨がないと、
胸郭を保てません。
呼吸筋に「動け!」と命令してくれる
神経(呼吸中枢)がないと、
胸郭の大きさが変わらず、
肺胞に空気を出し入れすることができません。
「呼吸」のおはなしを支える土台になっているのが、
今回の内容です。
肋骨と胸骨だけが骨ではありませんね。
骨と関節の基本についてはおはなししてありますので、
「骨と関節の異常」に注目しましょう。
呼吸中枢については「中枢(脳)」にも関係するので、
最後におはなししますよ。
1 骨の異常
骨の「おかしい!」でイメージしやすいのは骨折ですね。
血球のできる場所、骨髄の炎症(骨髄炎)もお忘れなく。
ただ、骨髄炎の原因の1つは骨折ですから、
先に骨折についておはなししましょう。
最初に注意。
結構年代別特殊事情が多いところです。
でも基本が分からないと、
何が特殊かを説明できません。
だから、骨折の基本事例として
「大腿骨骨幹部骨折」と「脊椎骨折」を先にします。
その後、年代別特殊事情として「小児の骨折」と
「高齢者の骨折」のおはなしをしますからね。
(1) 骨折
A 大腿骨骨幹部骨折
大腿骨骨幹部は、太ももの骨のど真ん中。
大腿骨近位部は股関節の一部、
大腿骨遠位部は膝関節の一部ですね。
大腿骨は人体最大の強靭な長管骨。
しかも周りは大腿四頭筋、大腿二頭筋等の
分厚い筋肉で覆われています。
だからそうそう折れることはないはずですが…
折れてしまったら
転落や交通事故等のよほどの力が加わった証拠。
他の骨も折れている可能性がありますよ。
大腿骨が折れると、立つことができません。
すごく腫れ(高度腫脹)、痛み(疼痛)、
時間がたつと血圧低下を起こしてショックの危険です。
大腿骨骨折は、単独骨折かつ皮下骨折で済んでも、
1ℓくらい出血しますよ。
皮下骨折というのは、
折れた骨が皮膚の下でとどまっている状態。
体の外側から見れば「閉じた空間」内での骨折なので、
「閉鎖骨折」とも呼びますね。
「開放骨折」は、
皮膚の外(体の外)に骨が出てしまった状態。
こちらは格段に感染の可能性が高まります。
「単純骨折」というのは、1本の骨の骨折。
「複雑骨折」というのは、複数の骨の骨折です。
「ひびが入った」も立派な骨折であることをお忘れなく!