10 各論5:体温(感染・免疫):⑨自己免疫疾患(1)
自己免疫疾患は、
現在でも「なぜそうなるのか」
「どうすればいいのか」等を研究中です。
でも、少なくとも
「症状をやわらげる薬(一応効く薬)」があります。
ここでは一応効く薬の一部を紹介しますね。
自己免疫疾患には多くの種類があります。
全部紹介はできませんので、
全身性の疾患代表の全身性エリテマトーデス(SLE)と、
部分性の疾患代表の関節リウマチ(RA)に効く薬を紹介します。
まず、全身性エリテマトーデス(SLE)。
白血球が自分の体を攻撃し、
そのせいで全身に各種症状が出るものです。
白血球の働きで困っている…
炎症のおはなしと似ていますね。
だから抗炎症薬の親分格、
ステロイド剤のプレドニゾロンが使われます。
プレドニゾロンのおはなしは、内分泌系のところでしましたよ。
プレドニゾロンと一緒に使われることが多いお薬に、
シクロホスファミド水和物(エンドキサン)があります。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00047776
抗腫瘍作用と免疫抑制(骨髄抑制)作用がありますね。
「悪性腫瘍(がん)や移植前に使われる薬だ!」と分かるはずです。
全身性エリテマトーデスに対しては、
「体を攻撃してしまう白血球自体を減らす」作用になります。
シクロホスファミド水和物の禁忌は
重い感染症とペントスタチン(コホリン)使用中の人。
感染の真っ最中に白血球が減っては、守れる体も守れません。
ペントスタチンは成人T細胞白血病リンパ腫に使う抗腫瘍薬。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00055575
ATPを作るところを邪魔するお薬です。
ペントスタチンとシクロホスファミド水和物の併用で
死亡したとの報告が海外でありました。
シクロホスファミド水和物には、
もともと心毒性
(不整脈・心不全等の心臓への悪影響)があります。
そこにペントスタチンが重なることで、
心毒性が上がるのではないかと考えられています。
警告文の分量は多いものの、
良く読めば「抗腫瘍」と「免疫抑制」に関するものばかりです。
分量も内容も多いのが併用注意。
本来体内にあったホルモン系の補充が
併用注意に入っていることは確認しておきましょうね。
オキシトシンとインシュリンの効果は強く出て、
バソプレッシンの効果は弱く出ますよ。
副腎皮質ホルモンは
シクロホスファミド水和物の効果が強く出ます。
抗腫瘍薬のアントラサイクリン系は、
心筋に影響が出ますから要注意ですね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230603更新)